第11話 逢“魔”時(2)
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
純吾とリリーは目の前の化け物に困惑していた。
今対峙している化け物は全身が黒く、その体は常にうねうねと形を変える。顔の部分には赤いハ虫類のような目に、2本の触角が左右についているという様相だ。
見上げるような大きさも相って、化け物が上に下にウネウネと這いずり、或いは飛び上がって彼らに向かってくる様は、心の弱いものなら絶望を感じてしまうであろうものだ。
だが、2人とも異形の姿は見慣れている。この程度で困惑する事はない。
では強さにか?
それはもっと有り得ない。純吾とリリーは終始化け物を圧倒している。
純吾が前に出て化け物と直接対峙し、リリーがその後ろから【ジオ】などの魔法で純吾の攻撃の間隙を縫うように攻撃を加える。息のあった連携によって、2人は化け物に攻撃の暇を与えず一方的な展開で戦いを進めていた。
では、困惑をする理由は何か?
「…たたいても、あんまり効いてない」
「魔法も全然。何なのよ、弱っちいくせにしぶといって、ゴキブリみたいな奴ね」
眉根にしわを寄せて呟く純吾に、苛立たしげに答えるリリー。
そう、タフなのだ。
純吾とリリムの攻撃を雨霰と喰らっておきながら、化け物が活動をやめる気配が全くない。 何度も衝撃で吹き飛ばし、雷で体をバラバラにされても、その都度体を再生し、復活をしてしまうのだ。
けして倒せないわけではない。だが、決して止めを刺す事の出来ない相手。今まで戦った事のない相手を前にしたから、戸惑っていたのだ。
「ん…。効くまで、何度でも試す」
「さっすがジュンゴ、それしかないわね♪ ……じゃあ、もういっちょ行きましょうか!」
しかし、倒さなければどうしようもない。純吾とリリーはそう確認し合うと、何度目になるか分からない突撃をしかけるのであった。
「純吾君たち、すごい……」
なのはたちは依然電柱の傍でその戦いを見ていた。目の前では、再び純吾達優勢で戦いが進んでいる。彼らは攻撃は全てよけ、逸らし、逆にこちらの攻撃をあてて化け物を吹き飛ばす。
「さもありなん、我が主は常に自ら鍛錬を重ねていらっしゃり、リリムは仲魔の内で最も主の信頼の厚い者だ。あの程度を相手取る事など造作もない」
純吾が鍛えている事は知っていても、初めて見る戦いから目を離せないすずかに、誇らしげにそれを肯定するマハカーラ。
だが、
「駄目だ…。彼らは凄いけど、力だけじゃあれは封印できない」
突然聞こえてくる声が1人と1柱の楽観的な考えを否定する。
戦いを注視していたすずかはびっくりした様子でなのはの方へ振り向く。
「え? なのはちゃん、どうしてそんなこと知ってるの?」
「あ〜、すずかちゃん。それ、私じゃなくて
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ