第10話 逢”魔”時(1)
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純吾君は酷い怪我を負ったフェレットも、純吾君みたいな事を経験したんじゃないかって聞きたかったんだと思うんですけど……」
「そうなの? だって可愛いしか思いつかなかったんだもん。
…けど、ジュンゴと同じ境遇ねぇ。フェレットなんだし、野良相手に傷を負ったりするんじゃないの? それに、ジュンゴの事は悪魔の私から見たってレアな境遇よ? そんな事簡単に起こし得る存在がそう都合よくいるとは思えないわね」
ひょいと純吾の後ろに隠れる事ですずかの嫌な視線を躱しつつ、リリーが今度はまじめに答えた。
それを聞いて、「そうですか…」と、すずかは悲しげに顔を伏せる。
彼女は優しい。そう都合のいい事はないだろうとは思ったが、そう希望通りには世の中はいかないようで、純吾の帰れる方法は、彼の身内自身に否定されてしまった。それが、悲しい。
けど同時に、彼がいなくならない事に安堵している自分も見つけてしまっていた。悲しい事は本当だ、だけど、こんな事考えていると知られたくなくて、顔をそらしてしまったのだ。
すずかにつられて純吾も悲しげな顔をする。しかし純吾はフェレットすら見ていないので帰れる事に対してどうしてもリアリティーを感じれなかった。
彼の場合は、突然悲しそうな顔をするすずかの事を純粋に案じての事である。
突然暗くなる場の雰囲気。
と、そんな様子に飽きたのか、純吾の後ろに回ったリリーは、後ろから彼に抱きついてご満悦の表情になった。
純吾はいきなり後ろからのハグに目をきょろっとさせ驚き、すずかはそれに怒ったような呆れたような顔をして「もぅ…」とため息。
ハグするリリムに驚く純吾、それを嫉妬のような呆れたような複雑な思いで見つめるすずか。どんな悪い雰囲気になっても、こうなってしまえばそれはお終い。それは割と最近だが、いつもの月村邸の風景であった。
純吾の携帯が突然、鳴り出さなければ。
携帯を取り出し、差出人を確認する純吾。……差出人【Nicaea】
伝達事項【死に顔動画@高町なのは】
更に動画を確認。そして携帯を見て深刻な顔になった彼を見つめるすずかに、一言
「…すずか。そのフェレット、いま、どこにいる?」
◆
はぁ、はぁ…。はぁ、はぁ、はぁ………。
も、もうあのお化けから逃げる事はできたかな?
それとも、まだ追って来ているんだろうか?
みんなでフェレットさんを病院に運んで行って、家に帰ってきたけど、やっぱり「助けて」の言葉が気になっちゃった。夜になって、ご飯を食べて眠る前になってもそれは変わらなかったの。
そしたら、昼間の声と同じ声で、やっぱり助けてほしいって声が聞こえたの!
だからこっそり家を出て、フェ
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