第9話 転入生と茶碗蒸し
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新暦65年、4月上旬
聖祥大付属小学校3年生の教室は新学期が始まり、普段よりも友人たちとのお喋りに騒がしくなっていた。
「ねぇねぇ、アリサちゃん。今日新しく転入生がくるって先生たち言ってたの」
亜麻色の髪をツインテールにしたくりっとした目をした少女が、となりにいる少女に話しかけた。それに少し鬱陶しそうに振り返りながら、となりの少女は答える。
「知ってるわよ。てか、私と一緒に登校してたんだから、なのはの知ってる事を私が知っているのは当たり前でしょ」
金髪で勝気そうな少女―――アリサ・バニングスがじろっと少女を睨みつけた。
「にゃはは、そうだった。けど、ほんと今日はいろんな特別があるの。入学式に、新学期に、新しいクラスに転入生! いっぱいいっぱいあって、今からもうすっごい楽しみなの!」
少女―――高町なのはがそれでも嬉しそうに言う。新学期が楽しみで仕方がないのか、ツインテールが上下にひょこひょこ揺れている。
「お、おはよ〜」
そこに、紫髪の少女が間に入ってきた。声に張りが無く疲れているのだろうか、若干肩を落とし、目の下にも隈ができているように見える。
「あっ、すずかちゃんおはよーなの!」
「おはようすずか、……ってなんか妙に疲れてない? いきなり一緒に学校に行けないって言われて、ちょっと心配したのよ?」
入ってきた少女―――月村すずかに挨拶する2人。なのはは先程の上機嫌のまま元気よく手をあげて、アリサは眉をひそめ今朝突然メールごしにいわれた事について、彼女の事を心配しながら尋ねた。
「う、うん。ごめんね。それで、来れなかった理由なんだけど、純吾君の撮影会があって……」
「何よそれ、って。……あ〜、また暴走したのねリリーさん」
唐突に言われた意味のわからない理由に納得するアリサ。2人とも、もの凄い美人だけどもの凄い常識外れの女性を想像してしまう。想像の中の彼女は、綺麗な黒髪を揺らして元気いっぱいに彼女たちに笑顔で手を振っていた。
「うん、制服の試着した昨日の夜から『今日はジュンゴ祭りよ!!』って一晩中。それに朝もまた純吾君が制服着たらまた『短パン来たぁぁぁぁっ!!』興奮してきちゃって……」
「朝から災難だったわね…。あら、それじゃあ転入生って」
「むぅ〜、すずかちゃんとアリサちゃんだけで話進めてズルイ! ジュンゴ君って、誰なの?」
ぷくー、と頬を膨らませ会話に割って入るなのは。自分が全くついていけなかったのが気に入らなかったらしい。
「あら? 恭也さんから聞いてたと思ったんだけど。えぇと、純吾君って…」
そこで、教室の前から席に着くよう声が聞こえる。担任が着た事もあってなのははしぶしぶ自分の席に戻った。
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