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その答えを探すため(リリなの×デビサバ2)
第9話 転入生と茶碗蒸し
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に、シロウ? ……よろしくお願いします」

「ふふっ、こちらこそ、よろしくお願いしますね」

 結局、そう言う事になった。ぺこりと頭を下げる純吾に、笑顔で答える桃子。色々置いてけぼりだった面々もその様子をみてほっとする。

 しかし、

「はっはは、そう言えば恭也の奴も君の事を褒めてたなぁ。どうだい、そのまま家を継いでみないかい? 今ならなのはもついてくるぞ!」

 行き過ぎた士郎のフォローに場が騒然となった。突然指名されたなのはは「え、ふえぇっ!」と顔を熟れたトマトみたいに真っ赤にして慌てだすし、アリサは「な、な、な」といきなりの展開に言葉にならない様子。
 逆にすずかはニコォ、と氷のような雰囲気を纏って純吾の方を向いた。凍りつくかのような視線に、士郎の言葉を理解する間もなく純吾の気はそっちにいってしまう。つまり、彼女の怒りをどう鎮めればいいか、必死に考え始めたのである。

 その中で、リリーだけは違う反応をした。無言のまま純吾を膝から降ろして立ち上がり、今だ己の失策に気が付かない士郎の方へと歩く。
 将来の事を勝手に想像しているのか、うんうんと一人頷いていた士郎は、コツコツと彼に向って歩いてくる音に気が付きそちらを向く。

「こんにちは店長さん、私、ジュンゴの義姉でリリーって言います。今日はとってもおいしいコーヒー、ありがとうございました♪」

 士郎がリリーの方を向いた事を確認して、彼女は大輪の花が咲いたかのような無垢な笑顔を士郎に向ける。それに対して、士郎も嬉しそうに微笑み返す。

「あぁ、あなたみたいな綺麗な人にそう言ってもらえると俺としても嬉しいよ。
 っと、良く見たらあなたは今日ウチの話題を独占してた」

「あら、独占なんて恥ずかしい。私はただ、ジュンゴが今日こちらに伺うと言うのを聞いたから待っていただけだというのに」

 本当に恥ずかしそうに、リリーは少し頬を赤らめ俯く。

「いやいや、厨房にすぐこもってしまったからあまり見えなかったけど、あなたが一人座っている姿は本当に綺麗だったよ。その時だけ、この席の周りが輝いて見えたほどさ」

 そう言ってまた顎に手を当て想像に浸る。「こんな綺麗な女性が姉なんて、純吾君が家に来てくれたら、本当に翠屋も明るくなりそうだなぁ」
 と、ぽんっといい事をいい事を思いついたかのように手を打った。そのまま士郎はリリーの方へ満面の笑みを向けて

「どうだいリリーさん。あなたも一緒にここで――」

「シ・ロ・ウさん」

 ゾワリ、と自分の肩に突然触れた禍々しくうすら寒いものを感じさせる手に、思わず思考を手放し硬直してしまった。
 士郎はそのままギ、ギ、ギと油の切れた機械のようにゆっくりと振り返る。

「も、桃子……」

「ふふっ、士郎さん
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