第9話 転入生と茶碗蒸し
[4/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
れにあてられたすずかは軽く赤面する。
そんな彼女の頭の中で、自称彼の義姉(自称)たるリリーが「それがジュンゴ百八の魅力の一つ、ギャップ萌えよ!」と力説してくる。……なんだろう、少しイラっとくる。
「いいじゃない、甘いもの食べたら疲れも吹っ飛ぶわよ」
動きの止まったすずかを押しのけ、アリサが割って入る。押しが弱く、現に今純吾の言葉を聞いて躊躇ったすずかに任せていたらお流れになるのは必死に見え、フォローに入るが
「ん。久しぶり……あ、あ、アサリン?」
「アリサよ! どんな間違いしたら人を貝類に間違えるのよ!! てか間違えるにしても間違い方可愛らしいわね!」
途端に真っ赤になって怒りだしてしまった。
誘拐の後今日まで会えず、今までずっと彼へ質問しようと突撃してくる同級生をさばき続け、やっと話せると思ったらこれである。彼女は彼がとんでもない天然だという事を失念していた。
「ったく、せっかくゆっくり話せる時間になったと思ったらこれなんだから。それで、純吾料理するんでしょ? 翠屋の料理にお菓子ってほんとおいしいのよ?」
「そうなの、お母さんの料理、すっごく美味しいよ!」
そこで今日知り合ったばっかりのなのはがアリサのフォローに入った。ホームルームが終わった後すぐに声をかけに行き、恭也の話で盛り上がって、今ではすっかり気を許しているのだ。
ちなみに、もらった茶碗蒸しは昼休みに食べてみた。なのはにとって「料亭の味って、こんな味なんだろうな…」と、思わず洩らしてしまうほど美味しいものだった。
「料理? ……料理、食べてみたい」
「じゃあ、決まりね」
「うん、アリサちゃん、ありがとうね」
「べ、別にいいわよ私もやりたかったんだし。ほら、決まったんだからさっさと動く!」
思考停止から立ち直ったすずかに感謝され、慌ててアリサはそっぽを向く。そしてそのまま顔を赤くしたままの彼女に背を押されるように、純吾たちは教室を後にした。
駅前、喫茶「翠屋」
翠屋は駅前にある喫茶店であり、おいしいお菓子に料理、そして美男美女の店主夫婦を目当てに若い女性を中心に人気のお店だ。
お店にはそんなお客さん達がはしゃぐ声や、料理に舌鼓を打ち、感想を言い合う声でいつもあふれていた。
しかしその日の翠屋は、いつもとは違うざわめきがある。
お客さんたちの話声はいつもの陽気なはしゃぎ声ではなく、むしろひそひそとして静かな熱気を持ったものであり、ある方向を一心不乱に、熱を込めた視線で見つめるお客も多くいたのだ。
視線の先に、いや、今日の翠屋の中心いたのは一人の女性だった。
座っているため分からないが、おそらく160ほどはあるだろう女性にしては高い身
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ