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リリカルってなんですか?
無印編
第二十二話 裏 後 (なのは、クロノ、プレシア、リンディ)
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女は、すぅ、と視線を大きな傀儡兵へと向ける。その視線を受けて、その傀儡兵が後ずさったような気がした。意思がないはずの傀儡兵が彼女に怯えるように。それを気づきもせずに彼女は、すぅと左手に持っていたデバイスを向けると静かにトリガーワードを口にする。

「ディバインバスター」

 まるで魔力が爆発したような音共に放たれる先ほどの集束魔法と比べても遜色がないほどの砲撃魔法。怯えたように後ずさった傀儡兵だったが、正気に返ったようにシールドをはるが、それは無意味に終わった。まるで、そこにシールドなんて存在しなかった、と言わんばかりに水で濡れた和紙のようにシールドを軽く粉砕すると彼女のディバインバスターはあっさりと傀儡兵を貫き、粉砕してしまった。

 その結果を見届けると彼女は、何事もなかったようにまた歩き始める。

 ただ、それを見送ることしかできない武装隊の面々。通常であれば、救世主とも言うべき援軍に対して湧き立つところだろうが、彼女が見せた力が異様だった。自分たち百二十五名の武装隊が一致団結して、それでもなお劣勢を強いられていた相手に対して、まるで埃でも払うように一掃されてしまえば、彼らの立つ瀬がない。状況についていけず呆然としているというのが正直なところだった。

 そんな彼らを尻目に彼女は、まるで何事もなかったかのように平然とすたすたと歩みを続ける。武装隊の面々ができたのは、クロノがプレシアの元へ向かった通路に消えた彼女を呆然と見守ることだけだった。

「おいっ! 何をやっているっ! 広間を確保しろっ!」

 傀儡兵がいなくなったこの瞬間こそが絶好の機会なのだ。いくらほうけているからと言っても、その隙を見逃す理由は何所にもなく、全武装局員に部隊長は一喝する。その一喝が利いたのか、彼らは雷にでも打たれたようにビクンと身体を震わせると、正気に戻ったようにきびきびといつものように動き出した。今の一瞬の光景はなかったことにするようだった。

 部隊長の彼は、彼女が消えた通路の先を見ながら思う。

 ―――SSSランクの魔導師。まさか、本当に実在していたとは。

 花道を通って黒い少女が奥へと消えた通路を一瞥して、感慨深く思う部隊長だった。



  ◇  ◇  ◇



 高町なのはは、時の庭園の通路をゆっくりと一歩、一歩踏みしめるように進んでいた。本当なら、すぐにでも飛んで行きたい気持ちがある。しかしながら、そうしてしまえば、プレシアやその使い魔を見た瞬間に砲撃で攻撃してしまいそうだった。だが、それではダメなのだ。彼女たちには、翔太を傷つけたことを後悔してもらわなければならない。一瞬で片付けることなどあってはならないことなのだ。

 だから、高ぶる自分の気持ちを押さえるように一歩、一歩踏みしめながら時の庭園の
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