無印編
第二十二話 裏 後 (なのは、クロノ、プレシア、リンディ)
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その砲撃がどれだけ続いただろうか。数分の砲撃の後、砲撃の光は収まり、砲撃の音が鳴り響いていた先ほどとは打って変わって静寂が訪れた。時折、パラパラと貫いた部分が崩れるような音が聞こえる。それ以外のひときわ大きな音はたった一つだけだ。ドサッという人が床に叩きつけられたような音。バインドから解き放たれたプレシアが落ちた音だった。
なのははプレシアに近づく。まだ、呼吸音が聞こえる辺り、生きているようだ。なのはの砲撃魔法は非殺傷設定であったため、死ぬことはないはずだ。もっとも、SSSランクを軽く超える魔力に当てられたプレシアは、リンカーコアはずたずただろうから、魔導師としては死んだも当然かもしれない。
そんなプレシアの襟首を持ち上げると、なのはは少し離れた大きな容器がある場所の近くまで持っていく。そのエメラルドグリーンの液体の中に安置されているのは、忌々しくもなのはの唯一の友人である翔太の妹に納まった黒い敵だった。
どさっ、という突然、襟首から手を離した所為でプレシアがまたしても床に叩きつけられる。その衝撃で、んんっ、という声と共にどうやらプレシアは意識を取り戻したようだった。
ゴキブリのようにしつこいな、と思うなのはだったが、どうせ意識は回復させるつもりだったのだ。余計な手間が省けたと思うようにした。
プレシアが何かを言いたそうになのはに視線を向ける。だが、プレシアが何かを言い出す前になのはは容器のガラス表面に掌で撫でるように触れる。
「ねぇ、これ、大切なものなんだよね?」
プレシアに笑みを向けながら、なのはは問う。なのはの笑みに恐怖を抱いたように顔を歪めるプレシア。
「や、やめてちょうだい。アリシアに触れないで……」
まるでアリシアと呼ばれた少女を求めるようにプレシアが手を伸ばす。だが、身体が上手く動かないのだろう。起き上がることもできず、プレシアの手は宙を泳ぐだけだった。それを見て、なのはは笑みをさらに強めながら、ふ〜ん、と関心ありげに言う。
「よほど大切なんだね。戦いの中でも守ってたもんね」
なのはは気づいていた。自分の後ろに流れ弾がいかないようにプレシアが守っていることに。だからこそ、これが大切なものだということに気づいていたのだが。そのまま、なのはは、日常会話の続きのように何気なしに切り出した。
「ねえ、これ、壊したらどうなるかな?」
今度こそ、プレシアの表情は恐怖で引きつった。
「や、やめてっ! な、なんでもするわっ! だから、それだけは……か、彼のことも謝るから、だから、お願いっ!」
「う〜ん」
人差し指を顎に当てて少しだけ考える振りをするなのは。なぜなら、最初から答えは決まっているからだ。
「やだ」
なのはの答
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