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リリカルってなんですか?
無印編
第二十二話
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とはできず、僕は物のように引きずられながら、どこかへと連れて行かれるのだった。

 引きずられること数分、たどり着いたのは、ちょっと大きな部屋だった。視界の端に映ったのは木製の机だった。

『ショウくんっ!!』

 そして、引っ張られて連れて来られた部屋に響いたのは、ここで聞くはずのないなのはちゃんの声だった。その声に釣られて、前と同じように背筋を利用して顔だけ上げてみると、床から少し上の方に窓のように広がる大きなウインドウ。そのウインドウの向こうには、僕の姿を見たからか、安心していそうな表情をしているリンディさんやクロノさん、そして、心配そうななのはちゃんが映っていた。

「さあ、これで分かったでしょう。この子は無事よ。ジュエルシードを渡しなさい」

『待ちなさい。貴方はジュエルシードなんてロストロギアを何に使おうというの?』

 どうやら、先ほど姿を消したのは彼女がリンディさん、ひいては時空管理局の人と交渉するためだったのだろう。だが、交渉とは言っても警察のような時空管理局の人がそう簡単にジュエルシードという危険物を渡せるはずもない。だから、リンディさんが用途を聞いたりしているのは交渉。お互いの妥協点を見つけているのだろう。だが、そんな交渉がまどろっこしいのか、プレシアさんの顔には明らかな苛立ちが見え隠れしていた。

「……ごちゃごちゃ五月蝿いわね。大人しくジュエルシードを渡せばいいのよ」

 そういうとプレシアさんは、ちらっ、と猫耳の彼女のほうを一瞥していた。それに頷いたかと思うと彼女は、僕の方につかつかと近づいてくるのと同時に、後ろ手に回っていた両手の手首が一瞬だけ自由になり、そのまま天井から鎖のようなものでつるされた。まるで磔にされるように空中に浮かぶ形だ。

 突然の状況に、頭の処理が追いつかない。だが、状況は呆けることを許してくれず、僕よりも一歩間を空けて、目の前に立った猫耳の彼女は、まるでそれが自然な動作であるように右手を振り上げ、躊躇なく、それを僕の顔面に叩き込んできた。

 拳が命中すると同時に鋭い痛みが走る。

 殴られた衝撃にショックを受けながらも、僕の耳は窓枠の向こう側から悲鳴のような声と僕の名前を呼ぶいくつかの声が確認できた。どうして、殴られたか分からない僕は、え? え? と混乱するだけだったが、さらに状況は加速する。

 右頬の痛みが退く前に今度は、左の頬に痛みと熱。今度は左が殴られた? と疑問に思う暇もなく、次は腹部。右のわき腹、左のわき腹、また右頬、今度は鼻と次々に鋭い痛みが走り、キーンと耳鳴りのように鳴る耳は、やはり向こう側の悲鳴のような声を捕らえていた。

 しかも、目の前の猫耳の女性は、楽しそうでもなく、辛そうでもなく、作業のように無表情で、淡々と殴ってくるのだから、
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