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木の葉芽吹きて大樹為す
萌芽時代・出逢い編<中編>
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んだ道を猫に従って進んで行くうちに、先程までいた表通りではなく裏通りと言われるところに踏み入れていた。
 上が色々な物でごたごたしているせいか、辺りは薄暗い。
 きょろきょろとあちこちを見回していると、猫の進む先に薄汚れた布が掛けられた店の入り口が目に入った。
 となると、あそこが猫の目的地だったのだろうか?

「あ!」

 どうやら目的地だったらしい。
 躊躇いも無く猫が店の入り口の布の下をくぐっていく姿が見えて、自分も後を追いかけた。

「へぇ。外と違って店の中は随分と綺麗じゃないか」

 食料品からクナイの様な武器まで色々と揃えられた店内。
 店の雰囲気からして作られたばかりと言う事はないだろうから、店主がちゃんと掃除しているのだろう。

「????おや、お客さんかい?」

 色気が滴り落ちてきそうな艶めいた声が聞こえて来て、そちらへと足を進める。
 紫煙が漂う室内には、瑞々しい美しさの女性と、さらさら髪の黒髪少年がいて。

「あ、あなたあの時の……!」

 ????嬉しそうな顔で微笑んだ少年の姿に、私の頬は引き攣った。

*****

「……おや。知り合いなのかい?」

 思わず固まった私を元に戻したのは、店主らしき女性の意外そうな響きの声だった。
 紫煙漂う煙管を片手に、艶やかな黒髪を簪で纏めている瑞々しい雰囲気の女性は首を傾げてみせる。
 それにしても、なんで頭に黒い猫耳を付けてるんだろ。似合っているけどさ。

「はい。この間の任務の時に助けてもらったんですよ」
「へぇ。それはそれは……」

 女性のしっとりとした漆黒の瞳が、私を流し見る。なんでか背筋に戦慄が走った。

「その、今日は一人なのか?」

 この間会った時は側に黒髪少年(兄)がいたが、あの固そうな黒髪の少年の姿は店内に見当たらない。幾ら空区とはいえ、不用心すぎるんじゃないだろうか。自分の事を棚に上げてそう考えていると、少年が小さく笑った声がした。

「兄さんはこの近くで武器を物色している筈ですよ」
「そ、そうか」

 なら出来るだけ早くこの場から離れた方が無難だな。
 あのお兄さんの方の黒髪少年はなんでかあまり顔を合わせたくない……この弟君の方はそんな事思ったりしないんだけど。

「成る程ねぇ……。こちらが、この間お前達兄弟が出会ったって言う千手の次期頭領か」

 それまで黙って話を聞いていたお姉さんが、煙管を口から外して面白そうに私を見やる。
 なんだろう、その気の毒な生き物を見つめる眼差しは。

「うちはの男共は一度定めたら、とことん執着する性質だからねぇ」
「は? 一体何を」
「――可哀想に。あんた、あの子に多分一生追いかけ回されるよ」

 ぞぞぞ……! って、悪寒が
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