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蒼き夢の果てに
第2章 真の貴族
第19話 不死鳥
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。この印は……。
 そんな事を思いながら、カードにその印を写し取る俺。

「崇拝される者?」

 俺には読む事の出来ないルーンに因って刻まれた印を読むタバサ。う〜む。この世界で生きて行くには、ガリアの言語を読む能力だけではなしに、ルーン文字を読む能力も必要な可能性も出て来たと言う事ですか。

 それに、……『崇拝される者』ですか。

 俺は、目の前に滞空する炎が燃え上がるような雰囲気の長い髪の毛、燃えるように輝く瞳を持つ修道女姿の少女神を見つめながら、少し嘆息気味に呟いた。
 そう。俺の知って居る範囲内で、崇拝される者と呼ばれる存在、ルーン文字に関係が有り、炎属性で、更に女神様なら、アイルランドの女神ブリギッドしかいません。

 しかし、これでこの目の前の導く者の服装の意味が判りました。炎の色の長い髪の毛と燃えるような瞳は、火行に属する存在を意味していたのは分かっていましたけど、何故に修道女のような姿で顕われたのかが、今までは分からなかったのです。

 これは、キルデアの聖ブリギッドの暗喩だったのですか。

 ただ、背中の炎の羽については、未だに良く理由が判らないのですが。
 この部分は、天の御使いとでも言う暗喩なのでしょうか。

 しかし、疑問がまた出て来ましたよ。確かに印を手に入れて、その印を正確に大地に書き写してから彼女の名を呼べば、女神ブリギッドを召喚出来るとは思います。
 但し、印を手に入れたからと言って、その印を使用して、女神ブリギッドや霊鳥フェニックスを呼び出す能力を持っている人間が、俺以外に存在すると言うのでしょうか。
 系統魔法が全盛のこの世界で――

 そう考え掛ける俺。しかし、直ぐにその短絡的な考えを否定。

 そう、もしかすると、ガリア王家に伝わる秘術系の中には存在する可能性も有る。そう考えたから。それに、この世界の基本的なルール。使い魔は、魔法使い一人に一体だけと言う部分も、どうも抜け道が有るみたいですからね。

 まして、神の名と言っていたけど、それって、おそらくは真名(マナ)の事でしょう。それを、この世界の使い魔召喚の儀で唱えたら、間違いなく彼女を召喚出来ると思います。

 いや、そんな事は、今のトコロはどうでも良いか。取りとめのない思考を一時中断。それよりも、彼女の発言の中に気になる台詞が有る事に気付いた俺。
 それは――

「貴女の能力が必要になるような事が、この世界で起きつつ有ると言う事なのでしょうか、崇拝される者」

 そう聞いた俺に対して、しかし、首を横に振るブリギッド。その瞬間、能力を発動中の彼女の赤き髪の毛が揺れ、周囲に得も言われぬ香気が漂う。
 そして、

「未だ判らない。でも、古の盟約に従い、ガリアに災厄が訪れし時は、わたしが助力する事
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