第8話 守る、という事
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誘拐のあった日から、数日がたった。
「守るって言ってくれたんなら、この家にいてくれなきゃ駄目でしょ♪」ということで、今純吾たちはすずかの家にお世話になる事になっている。
また彼は特殊な事情以外は普通の子どもであり、春からではあるがすずかやアリサ達と同じ学校にも通うことにもなった。
全て、月村家の負担によってだ。
純吾はその事に素直に感謝したが、「いいのいいの♪」と言う忍の眼が面白いものを見る様に自分とすずかの間を行き来していた事が気になった。
その度にすずかが顔を赤らめ、リリムがその陰で頬を膨らませていた事にも、首を傾げさせた。
仲魔について、リリムのみが常に仲魔の中で彼女だけが人に近い姿である事もあり、携帯から出ている。
月村家が受け入れてくれたとは言えまだこの世界に慣れていなかった純吾にとって、仲魔が自分に気を使ってくれた事はとてもうれしい事だ。
ただ人間らしく振る舞わなければいけないとして、「じゃあ、これからジュンゴのお姉ちゃん役ね〜」といって抱きついて来たり、風呂場に突撃して来たり、ベッドで寝ていたらいつの間にか潜り込んでくる、とこれまで以上のスキンシップをリリムは敢行してくる。
純吾はそれにおろおろ、すずかはむっと頬を膨らませ、忍とメイド2人はやっぱりニヤニヤと面白そうにそれを見ていた。
そんな色々な事があったが、純吾のこの世界での新しい生活が回り始めていた。
「ねぇジュンゴ君、ジュンゴ君にあってほしい人がいるんだけど、いいかな?」
忍が純吾にそう言ったのは、そんな新しい日常を踏み出したある日の午後の事だった。突然の提案に、純吾はいつもの眠たげな細眼を驚いたように少しだけ開ける。
「どうして?」
「ジュンゴ君、私たちの事守ってくれるっていったでしょ? 私の知り合いにそういう事に慣れている人がいるんだけど、会ってみない?」
「ん……、分かった。シノブ、お願い」
少し考えて純吾はそう答えた。
先の争いで今までのように自分に力が必要だと考えている。それを伸ばす事ができる、というのであればそうしたいと考えたのである。
「りょーかい。じゃあ、彼が来たら教えてあげるわね」
そう言って、その日は終わった。
その日から更に数日。
「君が、純吾君だね?」
今純吾の目の前には、20代前の青年がいる。
涼やかだが鋭く光る瞳に、堅く結んだ口という意思の強そうな顔立ち。武道を習っているのか隙と無駄の全くない動作など、全体的に凛々しい雰囲気の青年だ。
「久しぶりね、恭也。ジュンゴ君、彼が紹介したかった高町恭也。私の彼氏でもあるの」
忍がその青年を純吾に紹介した。それにいつものように短く自己紹介を返した。
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