第7話 2つの誓い
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知らない、理解してもらえない、その事が、どれだけ彼を悩ませたんだろうか。
そう考えていると、「けど」と純吾君は話を続ける。
「これが教えてくれた、ジュンゴはこの世界でも、縁を紡げるって。だから【ニカイア】はすずかが危ないって事、教えてくれた。ジュンゴがそこに行く事ができた」
そう言って真剣な表情をしてあげた顔を私に向ける。ニット帽に隠れて見えづらいけど、強い意志を宿した瞳が私を見つめている。
どうしてだろう、頬が熱くなった。
「だから決めた、ジュンゴも約束する。絶対に誰にも言わない。すずかも、シノブも、ノエルもファリンもアリサも、ジュンゴが知り合ったみんなを守りたい。
もうアイリ達はいない。『世界を頼む』って言葉も分からない。けどせめて、……せめてこの世界でできた縁だけは、ジュンゴは守りたい」
その言葉を聞いた瞬間、アリサちゃんと純吾君に飛び込む。勢いで2人を巻き込んで押し倒すような形になったけど関係ない。そのまま両手で2人を抱きしめた。
「す、すずか?」
「ぐすっ、あ、ありがとう。ありがとう2人とも…」
アリサちゃんが少し驚いたように言うけど、それ以上言葉が出ない。
さっきよりも、涙があふれてくるからだ。ぽろぽろと出てくるそれが私の頬を伝う。けど、それは冷たくなくて、温かい。
拒絶されるかと思った、私は人とは違う。危険な事だってあるかも知れない。けど、それを知っても変わらず友達でいてくれる人がいた。
…守ってくれるって言ってくれる人がいた。それが、本当に、本当に嬉しかった。
―――本当に、ありがとう、2人とも。
そう心の中で言いつつも、後ただは2人にしがみつき、泣声をあげるしかできなかった。
◆
「ふふっ。私たちも守ってくれる、か」
2人がすずかに抱きつかれた所を少し離れて見守る忍。胸中は温かいものに溢れているが、それを素直に表すのは癪なのだろう。口元がキュッとつりあがり、目の前の光景に満足した笑みというより、計算通りとでも言いたそうな顔をしている。
「シノブ、こうなる事分かってたって感じね」
リリムが純吾に抱きつくすずかに羨ましそうな視線を向けながら忍に聞いた。それに表情を崩さず忍は答える。
「ええ、この事件を通して彼の事を見せてもらって、彼が底抜けに優しいって分かったの。
だからこの際、すずかにも知ってもらいたかったの。秘密を知っても、それを受け入れてくれる人がいるって事を。私に、恭也がいるみたいにね」
忍が明るく振る舞える理由、それは恋人の高町恭也の存在である。
忍も、もともとは人間に対して失望に近い感情を持っていた。どうせ自分は他人と違う、理解してもらえないという暗い感情を。だが、高町恭也は“夜の一族
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