第7話 2つの誓い
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ざかろうとする意味が分かんないわよ。例えばジュンゴと私、どっちがあなたに近いかなんて言われなくても分かるでしょ?」
肩をすくめてそう言うリリムさん。
……そう、なの?
「私、人として生きて……いいの?」
小さく呟いた私の声が聞えたのか、ずっと黙っていたアリサちゃんが口を開こうとした。
けどパンパン、という手を打つ音がそれを止めた。お姉ちゃんが皆の注目が集まったのを確認して満足げに頷く。
「ごめんなさいね、途中ですずかが入ってきちゃったけど、これからが一番大事なの。
その大事なことって言うのは、誓いを立ててもらう事。
私たち“夜の一族”の秘密を知った人には、その秘密を守る誓いをしてもらうか、記憶を消してもらわないといけないの。
…アリサちゃん、あなたは、どうする?」
「そんなの、決まってます。誓います、絶対にこの事は誰にも言わないって」
お姉ちゃんの視線をまっすぐに受け、間髪いれずに答えるアリサちゃん。
「あ、アリサちゃん…。 私と一緒にいたら、今日みたいな事またあるかもしれないんだよ?
私、人とは違うんだよ?」
その答えに、不安を覚え、聞き返す。いいの、本当に、危ないかもしれないんだよ…?
「そんなの関係無いわよ。それに、うぬぼれないで。
あいつらがまず狙ってきたのは私。すずかはそのオマケ。一緒にいる危険なんて、今さら気にしてらんないわよ」
どこか怒ったように答えてくれるアリサちゃん。そしてさらに言葉を続ける。
「人と違うから何だっていうのよ、人が他人と違うのは当たり前。一々気にしても仕方ないじゃない。私は、すずかが私とも、他の人とも違うからって気にしたりしないわ」
顔を赤らめ、そっぽを向きながらもそう言ってくれた。全ての言葉に険があるけど、全部私を気遣って言ってくれた事だと、その気遣いが本心だという事が伝わってくる。
さっきまでとは、違う涙がでそうになる。
「……ありがとう、アリサちゃん。じゃあ、ジュンゴ君はどう?」
今度は純吾君に尋ねるお姉ちゃん。純吾君は困惑したような、不安げな顔のまま、ぽつりぽつり話し始める。
「ジュンゴ、ずっとどうしてここに来ちゃったんだろう、って考えてた。フミも、アイリもここにはいない。ジュンゴの事知っている人、いない。ジュンゴが知っている所も、ない。ジュンゴ、一人ぼっちなんだって思ってた。
……だからこれがあっても、意味が無い、どうしようもない、そう思ってた」
じっと純吾君は携帯を見つめたまま、今までの悩みを打ち明けてくれる。
さっきと同じ、私には分からない思い。
誰も自分の事を知らない世界に、誰ひとり理解できない力を携えて生きていかなければけないという事。
誰も自分を
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