第7話 2つの誓い
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…もうおしまい、アリサちゃんに全て知られちゃった。これから、どれだけ言い訳しても変わらない。
わたしたちの関係は、もう、変わらない。人間と、普通でない化け物という関係は。
そう思うと、涙がさっきよりも出てくる。拭いても拭いても、全然止まらない。
涙をぬぐいつつ手で顔を隠した。誰も見たくない、このまま、独りになってしまいたい。
「…すずか」
ふと、純吾君の声が聞こえてくる。いつの間にか近くにきたみたいで、眉を下げ、悲しそうな顔をして私を覗き込むように視線を向けてくる。
やめて、あなたに何が分かるの? そんな同情はやめて…
「すずか、本当の化け物は、喜んで人を殺していくんだよ?」
けど、彼の口から出てきたその言葉に、そんな考えは吹き飛んだ。
顔をあげ、改めて彼の顔をはっきりと見る。
純吾君は私に同情や、憐みの視線を向けてきたんじゃなかった。自分が見た事に対して、そこで自分が感じた悲しみを思い出し、こらえていたために悲しみの表情を向けてきたんだって、その顔を見て分かった。
「ジュンゴ、こっちの事は分からない。けど、あっちで見たことなら知ってる。
……悪魔は、喜んで人を殺していった。自由になりたいって、自由になって暴れたいって、そのために呼び出した人が邪魔だって、携帯を持っていた人を殺していった。
ジュンゴは、それを止めれなかった。ジュンゴと、あと少しの周りの人と一緒に生きていくのに、必死だった」
「…………」
一体純吾君はどれほどの絶望を見てきたのだろう? 彼は、目の前で人が殺されていくのを見たという。その中には、お世話になった人や友達、もしかしたら好きだった人だっていたかもしれない。
彼の言葉に、私は何も言い返す事が出来ない。出来るはずが無かった、彼は私よりもずっと深い絶望の中で生きていたんだから。
そう思うと、とてもいたたまれなくなって彼の顔を見る事ができなくなった。それでも純吾君は、私に話しかけてくる。
「けど、すずかは違う。ジュンゴは知ってる」
その言葉に、もう一度彼の顔を見た。悲しそうな様子はどうしても残っているけど、目に優しい光を湛えて、私を見つめていた。
「すずか、ジュンゴを助けてくれた。だからジュンゴ、今もここにいる」
「け、けど結局純吾君を治療したのはリリムさんで…。それに、どっちにしても私の体は」
ゆっくりと、純吾君が首を振る。それと一緒に、純吾君の後ろからリリムさんの声が聞こえてきた。
「ジュンゴが言ってるでしょ、人を人たらしめているのはその意思だって。すずちゃんはジュンゴを助けてくれた心優し〜女の子、それでいいのよ」
それに、と続けて
「あなた、人でいたいんでしょ? 自分から遠
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