第7話 2つの誓い
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ちゃんが2人に話しかけに行った。
「じゃあ、アリサちゃんも納得をしたという事で、本題に入らせてもらってもいいかしら?」
…もう、さっきの事で話は終わりじゃなかったの?
「本題…ですか?」
「そう、本題。私たち、月村家の人間にとってね。アリサちゃん、すずかがどうして一緒にさらわれたか、何か言われなかった?」
その言葉に体が勝手に怯え、震える。
どうして、その話にならずに終わると思ったのに。どうして、その話をしようとするの? それも、アリサちゃんに、純吾君の前でなんて。それを、それを話してしまったら私たち……
「……はい。けど、あんなこと到底信じられません! すずかに、あんなこと言って」
「そう、私たちの事について聞いてしまったのね……」
顔を手で覆い、ため息をはくお姉ちゃん。それからふぅって息を吐いて、また2人と向き合った。
「アリサちゃん、すずかの心配をしてくれてありがとう。けど、何を聞かされたかは知らないけど、私たちに秘密があるのは本当。だから、聞いてほしいの、私たち“夜の一族”の事を」
そう前置きして、お姉ちゃんは話し出した。
“夜の一族”とは、五感や筋力、頭脳、異常な回復能力など、人よりも数段優れた力を発揮する種族。しかしその代償に、人の血から鉄分を摂取しなければいけない事。
そして、その優れた能力から、命を狙われる事が数多くあった、ということ。現に、月村の当主である忍は実際にそれを経験したことすらあると。
「じゃあ、今回あいつらが言っていた研究っていうのは……」
「ええ、人間とは違う、私たちの体を調べるつもりだったのね」
それが当然だといわんばかりに答えるお姉ちゃん。
もう、我慢できない……!!
気が付いたら、私は目の前のテーブルを思い切り叩き立ち上がっていた。皆がこっちを向いているのを感じるけど、そんなのもうどうだっていい!
「…もう、もうやめてよお姉ちゃん! 一族の事は秘密にしないといけないっていったのは、お姉ちゃんじゃない! それが、私たちにもそれにかかわった人たちにも、どれだけ危険か、教えてくれたのはお姉ちゃんじゃない!?
それに…」
言葉が詰まる。喉の奥から嗚咽が、目の奥から涙がこみ上げてくる。
「それに…、知られたら普通の生活ができない、って言ってたじゃない。私、普通に暮らしたかったのに…アリサちゃんや、なのはちゃんと、普通に暮らしたかっただけなのに!!
私たちが普通と違う、化け物だって知られちゃった。もぅ…、もう戻れないよ!!」
それだけ言うと、体中から力が抜けて立っていられなかった。自分の体がまるで糸の切れた人形みたいに、自分の意思とは関係なく床に膝から崩れ落ちるのが感覚として分かった。
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