第7話 2つの誓い
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
れる。
「そんな…、信じられない」
「私たちだってそうだったわ。でも」
そう言ってリリムの方へ視線を向ける。つられて後を追ったアリサの顔に、若干恐怖の色が浮かんだ。
今は純吾を抱き寄せて頬擦りしている何ともいえない間の抜けっぷりを見せるリリムだが、あの倉庫を壊滅に追いやった一人だ。今は味方だと言う事が分かるが、改めて意識するとどうしてもあの時の事が思い起こされる。
「わ、分かりました…。確かに、あれを見せられたら信じるしかないですね……」
「えぇ、それじゃあ説明は終わって……純吾君」
なんとかだが納得をした様子のアリサへ満足げに頷くと、忍は純吾の方を向き、自分の疑問を彼にぶつける。
「ねぇジュンゴ君、【悪魔召喚アプリ】の事は聞いたけど、あの動画は何だったの? 前見させてもらったときは、そんなものなかったはずよ?」
―――ちゃんと説明してもらうわよ?
目を細め、絶対に説明してもらうまで逃さないという勢いで見つめる。
忍にとって純吾はブラックボックスの塊だ。今回も正体不明の力で助けられた。
自分たちの身を守るために、その力について把握したいのは当然のことだ。
「…あれは、アプリじゃない。死に顔サイト【ニカイア】」
機敏に忍の雰囲気を悟ったか、純吾はまっすぐ視線を返し答える。
「友達や家族、知り合いが死ぬ時の様子を教えてくれる。いつ、来るのかは分からない」
「じゃあ、私たちを助けてくれたのも……」
「ん…、この動画のおかげ」
その答えに、顔を歪めて身をよじるアリサ。自分が死ぬ運命にあったかもしれないと言われ、死への嫌悪感と、それが実現するかもしれなかったという思いから、封印しかけていた恐怖で再び勝手に体が震える。
「じゃあ、あなた私の命の恩人ってことになるのね? あ、ありがとう、本当に助かったわ」
だがそれでも、彼に向って頭を下げた。
悪魔を呼び出す事ができると聞いた時、はじめは恐怖を覚えたが、見ず知らずの自分を助けるために命を張ってくれた。その事が、彼への恐怖を拭い去らせた。
「ジュンゴだけじゃない。リリムも」
「え…? そ、そうね。えっとリリム、さん? 本当に、ありがとうございました」
「はい、どういたしまして。お嬢ちゃんみたいなかわい〜子が無事でよかったわ♪」
言葉はそっけないが、普段から細い眼がかすかに笑みを浮かべたようになり、口元をほころばせながら返す純吾に、倉庫の時のような邪念を全く感じさせない笑顔のリリム。
純粋に命が助かったことを喜んでいる表情。その表情を見て、アリサの中から若干だが事件や、そして悪魔に対する恐怖が薄まっていった。
◆
アリサちゃんと純吾君の話が終わったと思ったら、お姉
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ