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故郷は青き星
第六話
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供と遊んであげるという経験は前世である田沢真治にもあったが、これは大人と子供という関係の中で、あくまで上の立場で子供と遊んであげるというスタンスであり、全力でテンションを上げて、更に『永遠の少年』を解き放てば十分に子供と仲良く遊ぶ事は可能であり、むしろ開放しすぎて後で後悔する事もあった位だった。
 しかし、同じ対等な立場で子供と付き合うのは全く別物で、子供を理解できても共感が出来ない。子供達の喜怒哀楽のポイントが後から理解できても、彼等と同時に笑ったり怒ったりが出来ない。
 そんな訳で、エルシャンは今年から通い始めた初等教育の1年目にしてクラスで浮いてしまった。別にクラスメイト達から嫌われてる訳じゃない。むしろ一目置かれている。いや一目も二目も置かれすぎて浮いているのだった。
 クラスメイトにとっての個人としてのエルシャンの評価をまとめるなら、いざと言うときに頼りになるが近寄りがたい何処かおっさんみたいな人である。
 幼児プレイを極めた上で児童となった彼をもってしても超えられない厚い壁が子供達との間に立ち塞がっている。そうエルシャン本人は思っているが、もう一つ重大な理由があった。
 彼個人の問題ではなく、彼の家名であるトリマの名。痩せても枯れても腐ってもフルント6大種族の一つシルバ族において10指に入る名門トリマ家の跡継ぎである事を彼はすっかり忘れていた。普段の生活が一般庶民レベルなだけにエルシャン自身は忘れ気味だが、周囲の人間は忘れては居ない。
 元はいえばこの一帯の地域を支配した大領主の家柄で、この学校に通う子供たちの多くはトリマ家の家臣や領民出身であり、尚且つ現当主は【敵性体】から銀河を守る連盟軍の提督で、若い頃は名の知れたエースパイロットとして活躍した英雄として、家庭内の評価はともかくとして尊敬を受けており、更にこの地方の住民の多くは彼の部下でもある。
 そんな訳でエルシャンには誕生日に呼ぶような親しい友達は居ない。別にクラスメイトに友達になって欲しいわけじゃないが、人間には同じレベルで話し合える友人という存在は必要だった。友達が居ないという現実はやはり寂しく辛く、その行き場の無い思いが弟や妹達への愛情として向けられているのだった。


 ユーシンの料理を待つ間ソファーの上で弟ウークの和毛を梳るエルシャン。ウークはもうじき4歳を迎えるので体中を覆う柔らかな和毛が抜け始めているので、取り除いてやらないと抜け落ちた毛が床に落ち、細くて軽い和毛は簡単に舞い飛び家中毛だらけになる上に、本人も抜け毛が纏わりついていると気になるのか落ち着かなくなるので、日に何度かはこうして専用ブラシで毛づくろいをしてあげる必要があった。
 エルシャンの誕生祝いの料理造りに腕を振るう母の代わりに──ユーシンはこれは母の仕事だと言い張り、普段は滅多にエルシャン
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