第六話
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て構成される──の1/3は、僅か500年で【敵性体】の勢力下に落ちていた。
「そこで、今は実力を隠して欲しい。お前が正規パイロットにさえ成れば状況は変わる。だから頼む!」
年少パイロット資格の認可に関しては、バルジ星域出身者が占める軍上層部管轄のためにエルシャンの情報が伝わることに問題は無いが、実戦部隊を管轄する各方面軍司令部にはポアーチが警戒する前線国家出身者が多く所属しているため、エルシャンがフルント人パイロットの枠をも超えるパイロット適正を持つ事を示す実戦データを出すのは危険だった。
他でもない自分の為に自分へと頭を下げる父へ、横に振る頭などエルシャンには無かった。
「分かったよお父さん」
パイロットに成ったらやろうと考えていた『俺無双』に未練を感じないわけでもないが、そこは中身は大人。ぐっと我慢し、そして父への評価を大きく上方修正しながら頷いた。
「これで心配事は片付いた。今日はお前の誕生日だ。母さんがご馳走を作ってるぞ」
右手でエルシャンの肩を抱いて書斎を出ようとするポアーチだが、ここで余計な事に気付く。
「そういえば、今日は誕生日会とか開いて友達を呼んでるのか?」
父の言葉にエルシャンはピクリと小さく肩を震わす。普段なら気付かれることは無かっただろうが、肩を抱く父の手にはその僅かな動揺の証がはっきりと伝わってしまった。
「ん、どうした? さては友達がまだ出来てないのか?」
妙に嬉しそうに問いかけるポアーチ。
「え、そ、そんな事は無いですよ……友達は居ますよ。本当に居るんです」
勿論嘘だった。そしてそんな嘘は通じない。
「そうか、友達居ないのか……」
トーンを落とし残念そうに呟くが、口元がどこかにやけていた。何でも卒なくこなす息子に欠点を見つけてほっとすると同時に、何故か嬉しかったのだ。
「父さんの馬鹿! お母さんに言いつけてやる!」
エルシャンは父の手を振り払うと脱兎の如く駆け出す。背後で「ちょっと待て、それ洒落にならん!」と叫んでいるが無視した。
半分はちょっとした復讐心による小芝居だが、もう半分ではエルシャンは本当に傷ついていた。
エルシャンとしても友達が出来ない現状を真剣に悩んでいた。
前世もあわせれば齢30代後半にもなって餓鬼と一緒に遊べるかなんて、それこそ餓鬼っぽい考えをしていた訳でもない。
可能な限り普通の子供らしくして、両親に心配を掛けない様にしたいと思っており、そう心がけて行動していたのだが無理だった。
失敗してもくじけず努力した。肉体年齢というか環境に影響を受けての精神年齢の低下という追い風も受けた。さらには自分の中の『永遠の少年』である部分も惜しみなく開放した。それでも子供社会の中で対等な人間関係を築くのは余りに困難だった。
大人として小さな子
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