第六話
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し、後者は【敵性体】の侵略を受けている他の渦状腕に分布する星間文明国家で、【敵性体】との戦闘に勝利するためには手段を選ぶべきではないと主張している。
現在、連盟において大きな発言力を持つのは、長い歴史を持ち進んだ文化文明を誇る──銀河の中で年老いた恒星系が集まるバルジでは古くから文明が誕生していた──前者であるが、追い詰められている後者は時として過激な手段に訴える事がある。
過去に前線国家によってフルント人のような高パイロット適正を持つ種族の研究とクローン兵の生産計画を連盟議会に提出された事があるが、その研究が人体実験を含む非人道的な内容であったために廃案にされる。しかし彼等は独自にその計画を実行に移してしまう。代表的な6つの高パイロット適正種族の優秀なパイロット達を工作員を使って拉致し、その多くを人体実験の末に死に至らしめ、更に人体実験と平行してクローン兵生産計画も進めるが、彼等の計画を察知した連盟首脳部が派遣した特殊部隊の手により施設ごと灰になった……ということになっている。
「──その為に、今も我々はイルヌ星系に引きこもる事を余儀なくされている訳なんだよ」
父の説明によって、連盟に属する国家は地球より遙かに文明が進んでいるので、地球よりは遙かにマシな倫理観によって政治が行われているというエルシャンの幻想を破壊された。そして同時に一つの事実に気付かされる。
「そんなに戦いは不利なの?」
詳しい戦況に関する情報は端末に設定された年齢制限ロックで検索できないようになっており、テレビなどのマスメディアによる報道では防衛に成功したしない程度の情報しか伝えられない。またエルシャンは知らない事だが連盟の勝利に関する報道は声高に行われる一方で、敗北に関しては取り上げれない事も少なくなかった。
「そうだな……お前も、もうパイロットとなったんだ隠しても仕方が無い。はっきり言おう。このままでは200年後にはフルント星は【敵性体】の手に落ちるだろう」
「まさか、そこまで?」
「まさか? 事実だよ。我々と【敵性体】との戦いは勝ったり負けたり、だが攻めてくるのは常に【敵性体】であり我々は防衛するだけ。負ければ一つの星が失われ、勝っても星が戻ってくるわけじゃない」
「でもSF/A-302には大気圏に突入して大気内で戦闘する事も、対地攻撃も出来るから──」
「それは単に【敵性体】の大気圏突入を阻止できなかった場合の保険だよ。占領行動を開始する前の段階なら、惑星に侵入した小型種を駆除できれば連中は何も出来なくなるからね」
事態はエルシャンの想像を遙かに超えて深刻だった。銀河のディスク──棒渦状銀河や渦状銀河は中心部のバルジと銀河の中心から同一平面状に展開する渦状腕により形成するディスク。そしてバルジとディスクを包み込むように球状に展開するハロによっ
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