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蒼き夢の果てに
第2章 真の貴族
第18話 襲撃
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そして、ここの場所と、襲撃者達の魂を鎮めて置く必要が俺には有ります。余計な陰の気を滞らせる訳には行かないですから。

 それに、相手が俺達に敵対していたヤツラですから、成功する可能性はかなり低いのですが、彼らの魂がこの場に留まっているのなら、上手く行くと魂……つまり、幽霊から情報を仕入れる事が可能かも知れません。

 但し、自殺者の霊で有る上に、先ほども言った通り、俺に敵対していた存在の魂だけに非常に危険ですし、その上、呼び出せる可能性もかなり低く成るのですが。

「タバサ。あまり良い環境やないけど、しばらく、俺に付き合ってくれるか?」

 まぁ、断られるとは思ってはいませんでしたが、予想通りコクリとひとつ首肯いて了承してくれるタバサ。
 それに、前に俺が戦場の死の穢れを祓っていたのを見ていたのですから、ここで俺が何を行うのかを判っていたとしても当然ですか。

 そうしたら、……いや、ジョルジュに関しては居たとしても良いですかね。

 俺は、愛用の笛を取り出して、こちらの世界に来てから何度目に成るのか判らない鎮魂(タマシズメ)の調べを奏で始める。

 やや哀調に帯びた音階が夜の闇に溶け込む。
 呼び寄せるのは死した魂。
 そして、死の穢れを負った大地を祓う事。

 独特の音色を奏で、語り掛けるように、諭すように、笛を通じて話し掛ける俺。

 しかし……。
 しかし、何故か、答えを返す者はない。

 これは、もしかすると……。

 突然、笛を吹くのを止めた俺を真っ直ぐ、その瞳に映すタバサ。表情には全く揺らぎを感じさせる事は有りません。但し、彼女が驚きに近い感情を抱いていたのは間違いない。
 そして、

「アガレス」

 俺は、タバサとジョルジュに対する説明を行う前に、アガレスを現界させる。
 封じられし宝石からの現界ですから、派手な演出などは行う事もなく、その場に現れる女性騎士姿の魔将。
 そして彼女に、

「アガレス。ここに居る襲撃者達の内で、一人でも良いから蘇生魔法が行使可能なヤツはいるか?」

 ……と、そう問い掛ける。もっとも、問い掛けては見た物の、ある程度の答えは既に想定済みなのですが。
 いや、出来る事ならば、俺の嘯呼魔鬼(ショウコマキ)の笛がへたくそ過ぎて、襲撃者達の魂に響いていない、と言うオチの方が良いのですが……。

 しかし……。

「シノブくんの笛が原因ではないな。彼らの魂は、既に彼らの逝くべき世界へと旅立っている。
 これでは、いくら蘇生魔法を唱えようが、鎮魂の笛を奏でようが、答えるべき魂が存在しないのだから無意味だな」

 俺が予想した通りの、そして最悪の答えを示すアガレス。
 確かに、この世界のルールを俺は知りません。……なのですが、死亡
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