第2章 真の貴族
第18話 襲撃
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もタバサやガリアの暗部に関わる事態なのか、
それとも、オスマン学院長が言うように、何らかの新たな事件が起きつつ有ると言う事なのかが、今のトコロ判らないのですが。
「……コイツらの死体の処理は、ジョルジュ。オマエさんの家に任せても構わないか?」
先ずは、この部分の依頼から行うべきですか。そう思い、サヴォワ伯長子たるジョルジュに頼む俺。それに、当然、死体を放置する訳にも行きませんから。
「構いません。サヴォワ家の領地内で起きた事は、我が家が処理を行うのは当然です」
少し首肯いた後に、そう答えてくれるジョルジュ。少なくとも、この地の祭祀を司る家の人間が引き受けてくれたのですから、ここに陰気が滞る事は無くなりましたか。
そうしたら次は……。
俺は、今度は我が蒼き主人の方を見つめる。タバサは、自らが奪った訳では無い、しかし、自らを護る為に戦った結果、失って仕舞った生命たちを送るように、そして、悼むように左手を胸に当て、死したる暗殺者たちに対して、黙祷をささげていた。
その夜の闇に浮かぶ彼女の姿は、ある種の宗教画を思い起こさせるかのように、風景に溶け込んでいる。
ただ、本当はこんなトコロにタバサを置いて置く事も避けたいのですが、流石に、このタイミングで俺からタバサを離すのも問題が有ります。
尚、これは過保護な台詞と言う物とは違いますよ。女性と言うのは、基本的に余計なモンに憑かれ易いのです。元々、陰の気が強い存在ですしね、女性と言うのは。こんなに多くの死が一度に起きた地で、この場に居る唯一の女性。それも、俺やジョルジュは、どう考えても霊的には強者ですけど、そのふたりと比べると、どうしてもやや劣って仕舞うタバサ。
多くの死に惹かれてやって来た良くないモノや、先ほど死亡した連中が転じたモノがタバサを依り代にして仕舞う可能性だって、少なからず存在していますから。
所謂、霊媒体質と言うのがこれに当たります。ですから、霊場などの山の中には、女性の入山を拒否している山が有るんですよ。
あれは、女性が穢れているから入山を禁止している訳などでは無く、女性の中に霊媒体質を持った人間が多いし、そもそも、女性自体が憑かれやすい性質で有る事から、女性の為を思って入山禁止としている霊山も存在していたと思います。
もっとも、すべての山がそうだとは言えませんし、俺の知識が間違っている可能性も少なくないのですが。
まして、山の神とは女性が多いのも事実。女性は、同じ女性の入山を嫌う神性を持つ者も少なくは有りませんから。
尚、今度の場合は、目の前のジョルジュにしたトコロで全幅の信頼を置く事は出来ません。
つまり、タバサの事をジョルジュに任せる、と言う選択肢は存在しないと言う事に成ります。
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