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蒼き夢の果てに
第2章 真の貴族
第18話 襲撃
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ュも気付いています。

【こちらに接近中の複数の人間の気が有るのです】

 吸血鬼の探知能力は、確か龍種の探知能力よりも優れていたはず。まして、俺は漫然とこんな森の直ぐ傍の湖畔にキャンプを設営した訳では有りません。
 この場所に悪意を持って接近するには、森の中からしか接近出来ない場所を選んで設営したのです。そこに、探知用の小細工を弄していない訳がないでしょう。

「ジョルジュさんよ。アイツらはアンタの関係者かいな?」

 一応、そう聞いてみるのですが、これは、聞くまでもないか。
 案の定、首を横に振るジョルジュ。そして、

「私の関係者ならば、わざわざ、森の中から接近して来る事など考えられないでしょう」


☆★☆★☆


 夜の静寂(しじま)に支配されていた世界に、四月(フェオの月)とは思えないような風が吹き抜ける。
 それは、何処か、遙か彼方から聞こえて来る笛のような音色を奏で、俺とジョルジュの間を吹き抜けて行く。

 そう。それは鬼嘯。何か、良くないモノが現れる時に聞こえて来る風の音。

 焚き火を挟んで何やら話し込んでいる俺とジョルジュ。
 更に、俺の傍らにはそれまで通り、シュラフに包まり横になった状態のタバサの姿。

 先ほどまでと全く変わりのない風景。
 但し、何処かが違う。ホンの少しの違和感。

 その刹那。突如、ひらめく銀の輝き。いや、厳密に言うと、それは黒き一閃。
 その一瞬の後、紅い生命の源を吹き上げながら倒れる俺と、竜殺し殿(ジョルジュ)
 森の中より放たれた数本の黒き色に着色されたナイフの奇襲攻撃によって、声を上げる間もなく倒れ込むふたり。

 倒れた俺とジョルジュの勢いで、焚き火から、赤い火の粉が舞い上がる。

 異変に気付いたのか、起き上がったタバサが、血を流しながら倒れ込んだ俺の方を一瞬だけ見つめ、素早く手元に置いて有った魔術師の杖を右手に構えるのだが、そのタバサに対して複数の黒き閃きが襲う!

 ふたつ目までを、その手にした魔術師の杖で弾いたタバサだったが、三つ目を右腕に。四つ目を右手に受け、魔法を発動させる為には絶対に必要な魔術師の杖を取り落して仕舞う。
 その瞬間、何時の間に接近していたのか、タバサの背後に現れていた黒い影がふたつ。

 その黒き影達が、タバサの背後と正面に回り込み、前後からの挟み撃ちを行う。
 黒い影達の俊敏な動きに対して、タバサの動きは普段と違い、明らかに精彩を欠いていた。おそらく、先ほど受けたナイフに、彼女の動きを阻害する何らかの薬物が塗られていたのでしょう。

 前後から挟み撃ちをされた武器を持たないタバサに黒き影が迫る。
 元々、高速で動き回る事によって敵を攪乱し、魔法によって勝負を決して来たタバサだっ
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