第2章 真の貴族
第18話 襲撃
[1/11]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「なぁ、ジョルジュさん。ひとつ、質問が有るんやけど、良いかいな」
二人の月の女神に支配された静寂の世界の中、俺の問い掛けと、焚き火の爆ぜる音のみがゆっくりと広がって行き、そして直ぐに消えた。
俺のそんな問い掛けに対して、少しの笑みを以て答えるジョルジュ。
夜の闇が支配する世界の中の焚き火の明かりが切り取った空間で、何故か彼こそが主人公と言う雰囲気を醸し出しているガリアの青年貴族。
確かに、イケメンは何処に居てもイケメンなのですが、その中でも、この御方は夜の闇が似合う存在だったと言う事なのでしょうね。
尚、彼からの言葉にしての明確な答えは無かった。但し、同時に明確に否定された訳でもない。
それならば肯定と取ったとしても問題ないとも思いますね。当然、俺の自分勝手な判断なのですが。
「タバサのお父ちゃんが暗殺された経緯を聞きたいんやけど良いかな」
一応の前振りは行って有るので、これは不意打ちと言う訳では無い。
更に言うと、この部分は俺に取って、出来るだけ多くの情報を得て置きたい部分でも有ります。
まして、タバサや、その母親が生き残っていると言う、歴史上の同様の出来事と照らし合わせると、非常に不自然な結果を作り出している事件の真相に近付いて置かなければ、タバサとその母親をこの負の連鎖から連れ出したとしても、事件が解決した事には成りませんから。
それに実際、タバサから聞いた話は、タバサの知っている真実でしか有りません。
確かに、そのタバサの話は、身内の彼女が話している内容としてはかなり状況を客観的に捉えた、ある意味、第三者的な目で見たかのような内容では有りました。
但し、それでも、オルレアンの側から見た暗殺事件だった事は間違いないと思います。
そして、このジョルジュが、ガリア王家から彼女に付けられた御目付け役、と言うのはタバサの意見なのですけど、少なくともサヴォワ伯爵家がオルレアン大公の方のサイドでは無かったと言う事は確かな事だと思います。
何故ならば、もし、表向きでオルレアン派に属する貴族だった場合、その遺児で有るタバサ=シャルロット姫と同時期にトリステイン魔法学院に留学する事など出来る訳はないですから。
これだけの能力を持った人物を、タバサに近づけさせる訳は有りません、普通は。
ならば、王家側。もしくは中立のサイドが集めた情報を聞いて置くのは悪い事では無いと思いますから。
「オルレアン大公は、狩りの最中に何者かに襲われて、背中からの一太刀に因る斬撃で暗殺されました」
ジョルジュがいともあっさりと、そう答えた。確かにこの答えからは、彼が隠さなければならない事実、と言う物を感じる点など存在しては居なか
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ