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剣の丘に花は咲く 
第六章 贖罪の炎赤石
第三話 士郎危機一髪!?
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きく息を吸う。

「母さまたちは勘違いしてるみたいですが、わたしはここに戦への参加の許可をいただきに来たわけではありません」
「な、何を言ってるのルイズ」

 エレオノールが意味がわからないと、ルイズに頬をヒクつかせながら問いただしている。ルイズは覚悟を決めるように一度目を閉じると、目を開け家族をぐるりと見渡す。

「わたしは、ここに報告に来ただけです……戦争に参加すると」
「……だ、駄目だッ駄目だッ!! 戦へ行くことは許さんっ!!」

 ルイズの言葉に、一瞬沈黙がバルコニーに満ちるが、それは公爵の怒声で破られた。
 公爵はルイズに指を突きつけると、唾を飛ばしながら叱りつける。

「何を言っている!! 戦争に行くだと? 馬鹿なことを言うなっ! お前はまだ子供だからわからないだろうが、この戦争は間違っているのだっ! いいか、そもそ――」
「敵は五万、味方は六万。戦争は敵の三倍の数がなければ確実な勝利は出来ない。例え拠点を得ることが出来ても、空を制したとしてもこの数では苦戦は必須……攻め込むことは下策」
「な……に?」

 ルイズが淡々と口にするものに、公爵の口がポカンと開く。隣に座る夫人もまた、鉄の仮面のような表情に驚きが見える。
 両親が戸惑っているのことを気にすることなく、ルイズの話は続く。

「上策は攻め込むのではなく、食料の大部分を輸入で補っている空の大陸が干上がるまで包囲すること……ですよね」
「……お前……どうして」

 信じられないものを見るかのような目を向けてくる公爵に、ルイズはふっと大人びた笑みを向ける。笑みには色気が交じっており、その姿には艶めかしい女が感じ取れた。
 子供だと思っていたルイズが浮かべた女の笑みに固まる公爵に、ルイズは人差し指を唇に当てると、更に笑みを濃くする。

「父さま……わたしは何時までも子供のままじゃありません。もう……大人の女なんですよ」
「……あなたまさか……」

 夫人の眉間に皺がよる。
 何かに気付いた様子を見せたが、すぐにまさかねと皺を消す。
 ルイズはそんな夫人の様子に気付くことなく、胸の上に両手を置くと柔らかな、優しげな笑みをつくる。

「この戦争が正しいものとはわたしも思っていません。確かに間違いを指摘することが忠義なのでしょう……だけど、わたしが戦争に参加するのは、姫さまの臣下だからではなく」

 ルイズは小さく頷くと、公爵と夫人をしっかりと見据える。

「わたしが姫さまの友達だから行くのです」
「まあ」
「……ルイズ」
「……とも、だち」
「っ……むっ……んんむっ」

 ルイズの言葉に、エレオノールは呆然と、夫人は顎に手を当て考え込み、公爵は苦々しい顔になった。難しい顔をする家族の中、ただ一人だけ、カトレアが優し
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