無印編
第二十一話 裏 (すずか、アリサ、なのは)
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翔太と同じクラスになれるからだ。
「うん、ショウくんと同じクラスになるために頑張るね」
「あ、うん。頑張って。僕も応援するから」
嗚呼、嗚呼、となのはは朝から何度目か分からないほどに天にも昇るような気分だった。
―――ショウくんが応援してくれるっ!!
それだけでやる気が先ほどの三倍だった。チャンスは、四年生に上がるときだが、絶対に同じクラスになるために頑張らなければならない。翔太の応援を無駄にすることなどできるはずがないのだから。だから、なのはは、いつもならサーチャーで翔太の教室を覗くことをやめて、苦手な国語の教科書を開きながら、漢字の書き取りを始めた。
さて、朝の出来事からいつもよりも集中して授業を受けながらあっという間に過ぎてしまった午前中の授業。今は、昼休みで、お弁当の時間だ。なのはは幸いなことに翔太と昼食の約束を取り付けることに成功していた。待ち合わせ場所は昨日と同じ中庭。そこで、なのははお弁当を用意しながら、今か、今かと翔太を待っていた。
そして、翔太が中庭に入ってきた気配。なのはは兄たちのように武術の達人ではないので生身の人間の気配を探ることなどできない。だが、魔法に関しては天才的な才能を持っている。故に、翔太を求めているなのはの本能が無意識のうちに翔太の魔力を感じ取っていたのだ。
立ち上がり、翔太が見えるようにその方向を向いたなのはの視界に入ってきたのは、翔太とそれ以外の二人の女の子だった。どこかで見覚えがある顔。片方は親友を名乗る金髪で、もう片方はバケモノだった。
―――なに、それ。
なのはが想像していたのは、翔太と二人だけの昼食だ。それ以外の誰も必要ではない。だからこそ、翔太がつれてきた二人の女の子は、なのはにとって邪魔者以外の何者でもなかった。しかも、よりにもよって、翔太の親友を自称する金髪と翔太を傷つけたバケモノなのだから、なのはの機嫌は決していいものではなかった。
―――消えてくれればいいのに。
そう願うが、その願いが叶うことはなかった。もしも、翔太が見ていなければ力づくでも翔太と二人の昼食の時間を作るのだが、翔太が近くで見ている以上、それは無理だった。しかも、二人は翔太が連れてきたのだ。なのはの勝手にするわけにもいかなかった。
仕方ない、我慢しよう、と思ったのは、昨日から幸せな時間が続いているなのはの甘さか。あろうことかなのはがバケモノと呼称している少女は、せっかく翔太のためにとっていた席の隣に座り、自分のお弁当のおかずまで勧め始めた。しかも、聞けば、そのお弁当は手作りらしい。それに対して自分は、確かにおいしいお弁当ではあるが、母親である桃子のものだ。果たして、どちらが勝者か。それはなのはには分からなかった。
その日の昼食は、
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