無印編
第二十一話 裏 (すずか、アリサ、なのは)
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の子かもしれない。未来に翔太が出会う女の子かもしれない。あるいは、先日の昼食会に土足で入り込んできた高町なのはかもしれない。
最悪を想像して、アリサはすっかり忘れていたなのはの存在を思い出していた。すずかだけではなく、もう一人翔太に恋する女の子。高町なのは。すずかをずっと見ていたアリサには彼女が翔太に恋していることを見抜いていた。だからこそ、許せなかった。
自分たちの関係がおかしくなった切っ掛けは、翔太が高町なのはに付き合うようになってからだ。翔太の生活サイクルが変わってしまってからだ。アリサが読んだ本の中にもあった。失って初めて気づくものがある、と。すずかは、生活サイクルが変わってしまった翔太と会えない日々が続いたことで恋に気づいたのではないだろうか。ならば、もしかしたら、高町なのはに絡まず、翔太がずっと同じ生活を続けていれば、すずかは恋に気づくことはなかったかもしれない。こんな風に思い悩むこともなかったかもしれない。
いくら、高町なのはと翔太の付き合いはゴールデンウィーク前で終わってしまうとはいえ、すずかの中に灯った感情が、なのはの中に灯った感情が消えるわけではない。だから、高町なのはは、翔太との付き合いが終わった後でも翔太に付きまとおうとするだろう。もしかしたら、それが原因となって、翔太が高町なのはに恋してしまうかもしれない。
それだけは嫌だった。翔太はアリサの大切なたった二人しかいない親友だ。それが一ヶ月前に急に出てきた女の子しか目に入らなくなるなんて、考えただけでも最悪だった。ならば、相手がすずかならば、いいのか? と問われれば、それも嫌だと思う。また、一人になるのは絶対に嫌だったから。
ならば、ならばどうすればいいのだろうか? どうなれば、いいのだろうか?
アリサの優秀な頭脳は、解を探して、そして、あっさりと見つけてしまった。
―――ああ、そうか。簡単じゃない。
アリサは自分で見つけた満足の行く答えに満面の笑みを浮かべた。
―――ショウが、あたしに恋すればいいんだ。
そうすれば、すずかも翔太も一緒にいられる。あたしは一人じゃない。ずっと、三人一緒にいられる。
その答えを出したアリサは、先ほどまで思い悩んでいたことが嘘のように晴れやかな気持ちになれた。そう、アリサが出した答えなら、アリサはまた一人にならない。ずっとアリサとすずかと翔太は一緒にいられる。そこに高町なのはの姿はないが、そもそも、彼女は一ヶ月だけの関係なのだから関係ない。
―――うん、うん。これでいい。これがいい……。
先ほどまで思い悩んでいたことが解決して、アリサは急に眠気に襲われて、満足の行く解が得られていたため、それに抗うことなく、アリサは夢の世界へと誘われるのだった。
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