無印編
第二十一話 中
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丸めるような形で小さくなった。
「あれが、なのはさんの持ちうる力であれば、いささか強力すぎますが、問題はありませんでした。しかしながら、なのはさん……あなた、自分のデバイス―――レイジングハートにジュエルシードを使いましたね?」
冷たい空気がその空間を支配する。だが、おかしいことにそれだけの重大な事実にもかかわらず、忍さんも恭也さんも驚いたような表情をしていなかった。アースラ組みの人たちは、この事実を知っていたから分かるのだが、なぜだろう?
そんな僕が浮かべた疑問を余所にコクリとなのはちゃんが頷いたのを確認するとリンディさんは言を続けた。
「ジュエルシードは、A級のロストロギアです。一つのジュエルシードだけで次元震という世界を滅ぼしかねない現象を起こすことができるような代物です。それを一個人が手にしてしまった。そもそも、ロストロギアを一個人で使用することは時空管理局の法律では重罪です」
なのはちゃんを責めるように淡々と話すリンディさん。なのはちゃんも自分が悪いと知っていて、責められるのが辛いのだろう。小さくちぢこめた身体をさらに小さくして、外圧から耐えているようにも見えた。
リンディさんの言うことは至極当然だ。ジュエルシードの大きな力というのは理解できる。だからこそ、僕たちは魔法をあまり使えないにも関わらず町中を探し回っていたのだから。そんな力を一個人が手に入れてしまった。確かに許されるべきことではないのだろう。
だが、それでも、何とかしたかった。なのはちゃんも、悪用しようと思って使ったわけじゃないのだ。だから、罪が一切ないわけではないが、それでも―――、と思ってしまうのは彼女が僕の友人だからだろうか。あるいは、僕が甘いだけだろうか。
しかし、この空気の中、何を口にすることもできず、次のリンディさんの言葉を待っていた。
「なのはさん、あなたが選べる贖罪の道は二つだけです。一つは、その力で時空管理局に貢献するか、あるいは、拘留所で一生、監視を受けるか」
さあ、どちら? とリンディさんの目はなのはちゃんに問うていた。
しかし、そんな酷な問題になのはちゃんが簡単に応えられるわけがない。その証拠になのはちゃんは今にも泣きそうな顔になって、助けを求めるように僕のほうを向いていた。
確かに、リンディさんたちの時空管理局の法律に照らし合わせれば、そうなのかもしれない。だが、それでも、と思ってしまう。そして、なんとかするためには今のタイミングで、嘆願するしかない、と。だから、僕が立ち上がろうとした瞬間、リンディさんの顔が真面目な顔から笑顔に変わった。
え?
その表情の変わり様に勢いがそがれてしまった僕は、立ち上がるタイミングを見失ってしまった。行き場のない決意をもてあま
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