暁 〜小説投稿サイト〜
自由気ままにリリカル記
五話〜お兄さん、イイ体してるね〜 3月11日修正
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話

だが、ブラックコーヒーを飲む時と様々なケーキを食べる時に口元を嬉しそうに歪めるという子供らしくない変な少年だ。

「そこの席、座っていいかな?」
「……どうぞ」
「ありがとう」

少年はこちらを一瞥し、すぐに興味を失ったようで本へとまた目を戻す。
……また近くで見れば見るほど子供っぽくないやつだな。

まあこの少年については普通の少年とは雰囲気が違いすぎるため、後で適当に聞き出すとして、今はこの店の様子を確認しよう。
そう思い俺は椅子に手を掛け、後ろを振り向き……


「おいお前! 俺の邪魔をするな! モブは大人しくしてろ!」
「はん。吠える奴程惨めな者はないぞ? 真のモブであるお前こそが大人しく家に帰って母の乳でも飲んでいるといい」
「なんだと!!」
「っぐ! ってえな! ……きさま!!」

銀髪と金髪の二人の少年が店の中心で明らかに不毛になりそうな争いをしていたと思ったら、急に殴り合いを始めた。
しかし、子供がよくやるような両腕を縦にグルグルと回しながら殴るという見た目微笑ましいものではなく、悪意が見え隠れする攻撃の応酬である
まあ、どれだけ強いパンチを打とうとしてもリーチの関係や腰が全く入ってないことから特に大きなダメージは入らないとは思うが、危険な場所に当たったりしたら大変だから……少しだけ心配だ。


翠屋の中心で殴り合いをし始める銀髪と金髪を眺めながら思う。



お前らは本当に何をしに来たんだと。

「……はあ」
「ん?」

ふと、後ろから妙に疲れ切ったような溜め息が聞こえたため振り返ると、相席の子供らしくない少年がブラックコーヒーを飲みながら呆れた様な視線を金髪と銀髪に送っていた。


「……ああ。どうぞお構いなく」
「いや、いいよ。それよりあそこにいる二人は……知り合い?」

とりあえず、金髪銀髪は放置することにしてこの少年の情報でも引き出そうかと思い、会話を続ける。ついでに魔眼も軽めに発動させておく。

「断じて違う」
「そっか……あ、俺は門音邦介。よろしく」
「よろしく。俺は東雲蒼也。適当に呼んでくれ」
「じゃあ東雲って呼ばせてもらうよ。あの二人って随分と顔が恰好良いと思わないか? それに銀に金なんて憧れるよな」

心にも無いことを言ってみる。

「思わないな。確かに顔は妙なくらいにイケメンだが、実際は……いや、何でもない。それにあいつらは名前も家も日本のものなのに銀に金っていうのも可笑しいだろ。そんなアンバランスな人間にはなりたくないな」

見た目あまり自分の考えを大っぴらに話さないような東雲が、今は少し饒舌になっているが、ぶっちゃけ本人も何でここまで饒舌になっているか分からないだろうな。
ネタバラシをすると俺の魔眼の効果、【魅了】
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ