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自由気ままにリリカル記
五話〜お兄さん、イイ体してるね〜 3月11日修正
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してもこれで試験に落ちてしまうのは少しの問題どころじゃないだろう。一応、簡単な計算くらいは頭に残っている。

「えーっと。残りの店は後何件だったかな? …うぇ。もう一件しかないのか。……はやいな」

まあ、予想よりも、勉強のやり直しに時間を取られ過ぎたため、あまり魔法にのめり込むことは無かったが、ルナと親密を深めることは出来たと思う。
転生者らしき少年達に、女の子が洗脳されていたのを解除したという話を聞いたときのルナのあの喜んだ様子には少し驚いたが、それなりに遠慮なく愚痴を話せる仲にはなったとは思う。
まだ、バリアジャケットのデザインを考えておらず、武器をどんな形にするかも決めていないが、それはこの調査が終わってからでもいいだろう。
それに、ルナから性能を聞いたが、異世界にいた時と同じ、もしくはそれ以上の戦いをすることも可能だと思えるからまあ、じっくり考えて答えを出せばいいだろう。


そして、家具を一通り買い揃えた俺が食事店をまわっている理由だが。


『マスター。良い店は決まりましたか?』
「いや、微妙かな。何度も来ようって思えるような店はまだ見つかってないよ」
『そうなんですか。……諦めて自分で料理はしようとは……』
「まだ諦める時じゃない。まだ最後の店……翠屋って喫茶店が残ってるさ」
『翠屋……ですか。シュークリームが絶品だということで評判になっているそうですね』
「まじか。ルナがそう言うのならその店は当たりかな?」

俺は、期待で胸を膨らませて翠屋へと向かっていく。
……まあ、単純に言えば近場で最高のデザートを求めて歩き回っているだけなのだ。
甘い物は好きなんでね。


「いらっしゃいませ。おや? 君一人か?」
「はい」
『………』

翠屋という名前の喫茶店に入ると、若い高校生くらいの男がやって来た。イケメンである。
見つめられた時に懐かしい感覚が背中を襲うが、適当に無視をする。
軽く返事をして、ルナが言っていた噂のシュークリームを注文して周りを見渡す。
店内には壁に写真が立て掛けられていたり植物が飾られていたりするだけで、特にごたごたした装飾はされておらず中々に好感が持てる。そして、店内には落ち着いた雰囲気のBGMが流れており、一息吐きたい時にはうってつけの場所のように思える。

人気のありそうな店だけあって、中々空いている席は見つからず、なんとか隅の席に少年が一人座っているが、そこにもう一つ空席を見つけたのでそこに座りに行く。

隅の、丁度影が薄くなりそうで、一番騒ぎに巻き込まれにくそうな場所。そこでブラックコーヒーを飲みながら本を読んでいる俺と同じ歳に見える少年に断りを入れておく。


黒髪黒目に幼さが残るが成長すれば、中々格好良くなると思われる将来有望そうな外見。
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