第二章「クルセイド編」
第二十一話「魔法外科医」
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ツァーライト一味アジトでは着々と準備が進められれて言った。祭りの、だったら彼らの年代上学園祭に当たるのだろうが彼らは犯罪組織。平和な学園祭なんかとは無縁なのである。彼らが準備を進めているのは治療といえば聞こえは良いがその実態はメスもクランチもピンセットも針も糸も登場する血みどろな外科的手術である。その準備を進めている方もこれから起こることに殺気立つ程の大規模なものだ。そんな中、執刀医たるエドワードをのぞけば唯一冷静さを保っていたジャックは朗らかに笑っていた。流石にツァーライト一味副長を勤め、口の悪いAI搭載特殊戦艦に乗って颯爽と修羅場を駆け抜けるだけの事はあると言えよう。
「成る程。ティーダに助けを求めたのか」
「まあダメモトだったけどな。
それに今日は本当ならアイツはミッドに帰ってる日の筈な訳だし。
でもその場合は俺が行けば良いし」
「ドラギオンでも持ち出す気だったのか?」
「まっさかぁ。エレギオの奴にそこまでサービスしてやるこたぁねえだろ。
ティーダでも大サービスだぜ?」
メスを初めとした医療用器具を山のように乗せたカートを押しながらジャックはそう言った。エドワードも同じ考えなのか腕を組んで「ウム」と低く唸る。
「確かにアイツなら戦力になるよな……
一ヶ月前だっけ。アイツからAA+の認定取ったってメール来たの」
「そうそう。正確には35日前だな。エリートの道を全力前進! してる訳だ」
「そんな奴が裏でこんな次元世界最悪クラスのゴロツキと繋がり持ってる……
ミッドの市民諸君からしたら心底笑えねえ話だよなぁ」
「でもまあそのおかげで戦力が増えたんだ。人脈ってのはやっぱ大事にするもんだよ」
「全くだ」
さていよいよ準備も完了と言ったところでタイミング良く扉が開いて二人の急患とそれぞれ患者を一人ずつ背負った二人組みが飛び込んできた。その際にドアが勢い良く開けられた衝撃で悲鳴を上げる。
「おいおい、患者は三人じゃなかったのか? 一人減ってるじゃねえか」とエドワードは呆れたように言う。
「うるせ、医者からしたら万々歳だろ」そうティーダの助力のお陰で軽い酸欠、火傷に脱水だけで済んだエレギオは口を尖らせた。
「全くだな……さてと」
エドワードは立ち上がるのと同時にそばにかけてあったレインコートに同じく水を弾く素材を用いたビニールのような感触さえする服……即ち手術衣を身に纏った。それこそが医術を扱う物の決戦装束。いつもの険しくも穏やかな顔を含めた表情と呼べる物を全て完全に捨て去り、氷よりも冷たい眼を光らせる。
「さて、ここからは俺の時間だ」
エドワードの後方のカートの上い置かれた大量の金具。果たしてメスか、それとも
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