第39話 新組織、デストロン
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「何だ貴様等! 此処に来たと言う事は貴様等も生贄になりたいのか?」
「へっ、お断りだね。てめぇら悪党の慰み者になんざなりたくもねぇや」
「その通りだ! お前達の悪行を許しはしない!」
二人がそう言い、互いに構えを取る。自分の姿を仮面を被る正義の戦士へと変える構えを取った。
「変身!」
その叫びと共に二人の腰に巻かれたベルトの風車が高速で回転していく。二人の姿が瞬く間に変わった。その姿はかつてショッカーや幾多の悪を壊滅させた正義の戦士の姿であった。
「仮面ライダー! 本郷先輩が仮面ライダーだったんですか!」
「すまなかった風見。俺達がもう少し早く気づいていればこうならなかっただろうに…」
本郷は静かに謝罪した後、ハサミジャガーを向いた。これ以上犠牲者を出す訳にはいかない。その為には目の前に居るこいつを片付けなければならない。そして、今度こそ悪の根を絶やすのだ。
「これ以上犠牲者を増やしたくない。そう思っていた…だが、結果はこれだ。俺は今日程自分の無力さを呪った事はない。だから俺はお前達を許さない! 覚悟しろ!」
「ほざけ! 貴様等こそ我等デストロンの恐ろしさを知る事になるだろう!」
「そうかい、だったら教えてくれよ」
フェイティングポーズをとりながら一文字が挑発する。だが、その挑発にハサミジャガーは乗らなかった。
「生憎だが、我々には崇高な目的があるのだ。此処で時間を無駄にする訳にはいかんのでな。また会おう! 仮面ライダー」
突如、ハサミジャガーがそう言うと、周りに居た戦闘員が懐から手に納まるサイズの物を取り出し地面に叩き付けた。その瞬間激しい閃光が部屋全体を覆い尽くす。閃光手榴弾か! 眩しい閃光が辺りを包み込む。改造人間となり超人的な視力を持つ本郷と一文字でさえ目を眩まされる辺り、特殊な閃光手榴弾だったのだろう。
視界が回復した頃には其処には既にデストロンの怪人達の姿は何処にもなかった。
「逃げられたか…」
「安心しな。念のために奴等に発信機をつけておいた。奴等の足取りはすぐに掴めるさ」
流石は一文字であった。これならば例え見失ったとしても安心である。だが、問題は風見であった。
「父さん…母さん…雪子…」
家族を殺された志郎はその亡骸を抱えて悲しみにくれていた。無理もない、愛する家族をこうも無残に殺されてしまったのだから。
「許さないぞ、デストロン! 俺は、俺は今日限り人間である事を捨てる! 復讐の鬼となって、奴等を根絶やしにしてやる!」
今の風見志郎の中に宿っているのは怒りと憎しみの炎であった。その炎を胸に宿したまま、志郎は立ち上がり、本郷と一文字を見た。
「仮面ライダー、お願いだ! 俺を……俺を改造人間にしてくれ!」
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