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スーパーヒーロー戦記
第39話 新組織、デストロン
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ざけるな! デストロンだか何か知らないが、そんなの理不尽だ!」
「問答無用! 死ねぃ!」

 次の瞬間、アリアの目に映ったのは目を覆いたくなる光景であった。つい先ほどまで温かな家族であった此処風見家が、凄惨な地獄と化したのだ。
両手が刃物になっているジャガーの姿の怪人の手により、両親も、そして妹の雪子も、一撃の元に串刺しにされてしまった。
 三人の倒れた床一面が赤い血で汚れていく。部屋一面に鉄臭い匂いが充満していく。
 その匂いはとても不快で、それでいて恐怖を煽るには充分であった。

「げははは、処刑完了。よし! 後は風見志郎を殺せ! そして女を捜せ!」
「ギー!」

 処刑を終えた後、家から撤収しようとする。もうこの家に用はない。後は風見志郎を抹殺し、アリアを捕える事だけだった。その丁度その時、家のドアを蹴破る音がした。何事かと首を傾げる怪人達の前に息を切らせながら風見志郎がやってきた。額は汗ばんでおり目を大きく見開いている。

「父さん! 母さん! 雪子!」

 目を血走らせ、息咳切らせた状態で志郎が目にしたのは、既に事切れた家族と血溜まりのリビングであった。
 部屋中に鉄臭い匂いが充満しているのが志郎の嗅覚に伝わってきた。普通の鉄とは違う嫌な匂いだ。そして、それを目にした途端、風見志郎の心が完全に砕ける感覚を感じたと同時にその場にへたりこんでしまった。
 目から大粒の涙を幾度も流し目の前の惨劇が夢であって欲しいと何度も願った。
 だが、それは紛れも無い現実であったのだ。風見志郎は今、この場で今日この日、自分の家族が死んでしまった事を悟る。
 そんな風見に向かいハサミジャガーが歩み寄る。

「風見志郎。我等デストロンの崇高なる生贄に選ばれた事を誇りに思うが良い!」
「デストロン…お前達が俺の、俺の家族を殺したのか?」
「そうだ、こいつらは我等デストロンの崇高なる生贄となったのだ。感謝するが良い!」

 ハサミジャガーは笑いながら言った。それを聞いた風見志郎の中に芽生えたのは激しい怒りと憎しみであった。
 こんな理不尽な事の為に自分の家族は死んだと言うのか? そんな事を認めて良いのか? 嫌、良くない!

「許さない、許さないぞハサミジャガー! 許さないぞデストロン!」
「ほざけ! 人間如きに何が出来る! このハサミで家族仲良く地獄へ行くが良い!」
「待てぇぇい!」

 今正に志郎に向かいハサミが振り下ろされようとした時、今度は本郷と一文字の二人がやってきた。そして、二人もまた凄惨な殺戮が行われた現場を目撃する。既に手遅れであった。風見志郎の家族は皆、既に息絶えていた。
 遅かったのか!
 内心で本郷は毒づいた。またしても犠牲者が出てしまった。あれだけ出さないと誓ったのにまた出てしまった。

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