第39話 新組織、デストロン
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察するに彼女は妹なのだろう。
そして、姉妹は揃って何かを探しているようだ。
「大丈夫よ。後少ししたら動き出すから。貴方は引き続き捜索をしてて」
【了解。必ず見つけてみせるからね】
「勿論よ。絶対に見つけてみせるわ! 何故ならあれは――」
言葉の途中でアリアは硬く拳を握り締めた。その探し物とは彼女にとっては曰く付きの物なのだろう。
突如、ガラスの割れる音がした。その他に女性の悲鳴が響いた。声色からして志郎の母親の悲鳴だ。そして、それに続いて少女の悲鳴と男の叫び声が響いた。
更にそれに続いて奇妙な雄叫びが複数聞こえてきた。聞き覚えのある奇声だった。奴等だ、奴等が此処までやってきたんだ!
【何? 一体どうしたの?】
「御免ロッテ。一旦切るね」
半ば無理やり念話を中断する。今から移動をしたのでは恐らく間に合わない。
此処を出た直後に見つかってしまう。
いちかばちかの賭けだった。アリアは自身に不可視の魔法を掛ける。
これで魔力を持った者以外は見つける事が出来ない。
奴等が魔法関連に対して疎ければの話だが……
直後、勢い良くトイレのドアを開けてきた者が居た。先ほど自分を追いかけた怪人の片割れ、全身黒タイツの上にサソリの絵が書かれたスーツを着ている。
俗に言う戦闘員だろう。その戦闘員が仕切りにトイレの中を見る。
不可視の魔法を使っているとは言えアリアは緊張が止まらなかった。少しでも物音を立てれば見つかってしまう。心臓の鼓動ですら危うい。
「どうだ? 居たか」
「嫌、居ない…恐らく逃げたんだろう」
其処へ別の戦闘員が駆けつける。
どうやら見つからなかったようだ。トイレのドアをそのままにして戦闘員達はリビングの方へ走り去っていく。
見つからずに済んだとアリアはホッとした。だが、その後すぐに疑問が生まれた。
先ほど聞こえたのはガラスの割れる音と女性の悲鳴であった。恐らくこの家の住人。
まさか! 奴等はあの家族を狙って此処に……
嫌な予感を胸にアリアはリビングへと向った。
其処には先ほどの怪人と複数の戦闘員達が風見家の家族を取り囲んでいた。
「ギー! 風見も女も見当たりません!」
「逃げたか…まぁ良い。こいつらだけでも良しとするか」
鼻を鳴らし、ハサミジャガーは一箇所に集めた志郎の両親と雪子を睨む。両手に供えられた刃先を不気味に光らせながらこちらを見てくる。まるで狂人だ。
「わ、私達をどうするつもりなんですか?」
震える口調で志郎の父が言う。その横で志郎の母がしがみつき、雪子は涙目になって震えていた。
「お前達は我等デストロンの栄えある生贄に選ばれたのだ! 貴様等は今から俺様の手に掛かって死ぬのだ! 光栄に思うが良い!」
「ふ、ふ
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