第39話 新組織、デストロン
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来ない。
「ほれ、とりあえず水でも飲んで落ち着け」
「あ、有難う御座います。おやっさん」
おやっさんから水を受け取り一気に飲み干す。喉を初めに体全体に冷たい水の感触が駆け巡り心地よさを感じた。
とりあえず一息ついた所で本郷が志郎に尋ねた。
「風見、お前一体何があった?」
「え? いやぁ、信じて貰えないでしょうけど、実はコースの練習中に女の人が怪人に襲われてましてねぇ。それを助けたせいでちょっと時間食っちゃいまして。嫌、嘘じゃないんですよ! これ本当なんですよ本郷先輩」
普通の人に言えばホラ話と思われるだろう。だが、それを聞いていた本郷の顔つきが突如変わった。そして隣に居る一文字と視線を合わせる。一文字もまた本郷と同じ顔つきとなった。これは只事じゃない。そう告げる顔つきであった。
「本郷、もしかして…」
「あぁ、もしかしたら一連のショッカー残党惨殺事件と何ら関係が…ところで風見、その助けた女の子は何処に匿ってるんだ?」
「家ですけど…」
突如、本郷は立ち上がった。奴等がもしショッカー以上の組織だと言うのなら、風見志郎の家を突き止めるなど容易い。今此処に居る風見志郎は安全だが、自宅に居る彼の家族やその女性はどうなる? 少なくとも一般の人間に怪人と戦える力などない。彼の家族が危ない!
「風見、すぐにお前の家に行くぞ!」
「えぇ? 急にどうしたんですか!?」
「急げ! お前の家族の身に危機が迫ってるんだ!」
それを聞いた途端、風見志郎もまた立ち上がった。家族に危機が迫っている。一体どう言うことだ? まさか――
脳内に映りだした嫌な予感を振り切るように、風見志郎は喫茶店アミーゴを飛び出した。
それに続いて本郷と一文字も同様に飛び出していく。
間に合え、間に合ってくれ!
最悪な考えが脳裏に過ぎる中、祈る気持ちで志郎はバイクを走らせた。そして、それに続いて本郷と一文字もまたバイクに跨り移動を始めた。
***
「こちらアリア…ロッテ、聞こえる?」
【聞こえるよ姉さん】
その頃、アリアは風見家のトイレの中に居た。片方の耳を抑えて何かを呟いている。嫌、正しくは遠方に居る何者かと通信を行っているのだ。
但し普通の通信ではない。魔法を使う事が出来るミッドチルダならではの通信技術である念話を使っているのだ。これならば他の人間に聞かれる事はない。少なくとも魔力を持たない一般の地球人には聞かれる事はだが。
「そっちで収穫はあった?」
【全然なし。姉さんの方は?】
「それがちょっとトラブルに巻き込まれちゃって、身動き取れない状況なのよ」
【一体どうしたの?】
声の主はアリアの身を案じるような言葉を発した。姉と言っている所から
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