第39話 新組織、デストロン
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うぞ自由にしていて下さい」
「本当にすみません。すぐに出て行きますんで」
「いえいえ、気にしないで下さい。人間困った時は助け合うものなんですから。どうぞくつろいでて下さい」
とても優しい一家であった。こんな温かい家庭で育ったお陰で、この風見志郎は優しい青年に育ったのだろう。アリアはそう思えた。
「そう言えば志郎。お前今日本郷さんと待ち合わせがあるんじゃなかったのか?」
「あ、いけねぇ! 忘れてた」
うっかり忘れてたのか、志郎は腕時計を見る。
待ち合わせの時間はかなり過ぎていた。
幾ら温厚な本郷先輩でも此処まで遅れたらきっと怒るに違いない。これ以上遅れるとどんな仕置きをされるかと考えると背筋が凍る思いがする。
「御免アリアさん。俺ちょっと用事があるんで。暫くは家でゆっくりしてて下さい」
「はい、志郎さんも気をつけて」
志郎の身を気遣うアリアに笑みを返し。風見志郎は自宅を出て行った。今から急げばまだ何とか間に合いそうだ。
そう思いながらも志郎はヘルメットを被りバイクに跨る。エンジンを掛け周囲を確認し、すぐさま目的地へと急いだ。
だが、志郎が自宅を出た丁度その頃、風見家を遠くから見つめる複数の目があった。それは以前風見志郎とリーゼアリアを取り逃がしたデストロン怪人ハサミジャガーと複数の戦闘員達であった。総勢で十数人は居るであろう。その全員が眼下に居る風見家を見下ろしていた。そのどの視線もが狂気と殺意に満ちていた。
「ギー! あれが風見志郎の家です」
「あれがそうか。今日よりデストロンは活動を開始する。まずその手始めに! 風見志郎とその家族を皆殺しにするのだ!」
ハサミジャガーの号令と共に全員が一斉に動き出す。しかし、その迫り来る脅威に対し、風見志郎は全く気づく事はなかった。思えばそれこそが後に風見志郎の運命を左右する事になろうとはこの時は思いもしなかった事だった。
***
勢い良く扉が開く音がした。見ると、息を切らせて風見志郎が来ていたのであった。
いきなりやってきた物騒な若者に対し店内に居たであろう本郷達は半ば呆れるような不満そうな表情を浮かべてそれを見た。本郷に至ってはかなり呆れた様子らしく苦笑いを浮かべながらこちらを見ていた。
しかし、目元は決して笑ってない。
「お、遅くなりました」
「おいおい、待ち合わせ時間より1時間も遅刻だぞ風見。大学だったら欠席扱いになってるだろうよ」
「すみません、ちょっとトラブルにあってしまいまして」
気づかれないように愛想笑いを浮かべる志郎。だが、そんな笑みの奥にある真相を本郷は見抜いた。何か巨大なトラブルに巻き込まれたのでは? 同じ城南大学の先輩としては後輩の危機を見過ごす事は出
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