第39話 新組織、デストロン
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」
すぐさま室内用のスリッパに履き替えた後、志郎もまたリビングへと駆けて行く。そんな中、アリアは誰も居なくなったのを確認した後、暗い顔をしだした。
(結局見つからなかった。この辺で魔力を感じたんだけど…一体何処にあるのかしら)
どうやら彼女は何かを探しているようでもあった。
魔力と言っているが一体何なのであろうか。それを明かすのはもう少し後になりそうである。
家の中で志郎と雪子の追いかけっこをしている足音が響く。だが、途中でその足音が止んだ。恐らく捕まえたのだろう。代わりに少女の甲高い声が響く。
「おぉい、アリアさん。アリアさんも説明してくれないかぁ? 雪子の奴完全に誤解しちゃっててさぁ」
「はぁい、今行きますよ」
再び明るい顔になり、アリアもまた用意された室内用スリッパに履き替えてリビングへと歩いて行く。
其処には何処にでも有る温かい家庭があった。テーブルに座り新聞を読む父。そんな父にお茶を注ぎそっと差し出す母。そしてじゃれあう二人の子供。正しく何処にでもある平和な家庭である。
「ほら、見てよお父さんお母さん。お兄ちゃんがこんな綺麗な女の人連れて来たんだよ。あのお兄ちゃんがねぇ」
「だから違うって言ってるだろ雪子! この人は偶々怪人に襲われてた所を俺が助けたんだよ」
「またまたぁ、お兄ちゃんはホラ話が美味いわよねぇ。で、何処まで行ってるの? 彼女と」
「ゆ〜〜き〜〜こ〜〜」
流石に堪忍袋の緒が切れたのか拳を震わせながら妹の雪子を睨んでいた。
勿論本気で殴るつもりなどない。
そんな事をするほど志郎も子供じゃないのは自覚している。
しかし、そんな志郎の心境を知ってか知らずか思雪子はわざとらしく飛び上がり、そのままアリアの背後に隠れる。
「キャッ、暴力反対!」
アリアの背中に隠れながらチラリと視線を出す雪子。
その顔は正しく悪戯好きのやんちゃ娘その物であった。
目元しか出してないが恐らく見えない部分、口のところでは舌を出してアッカンベーしているに違いない。
「ちぇっ、調子の良い奴」
アリアの背後に隠れられては手出しが出来ない、志郎も拳を収めた。兄の辛いところである。
それを見て部屋の中でドッと笑い声が響く。そんな感じで一悶着あった後、志郎は彼女と知り合った経緯、そして恐ろしい怪人の事を家族に話した。
志郎の話を両親は最初は冗談交じりにそれを聞いていたが、徐々にその話が眉唾物じゃないと言う事を理解した。
そして同時に風見志郎が連れてきた女性がその怪人に狙われていると言う事も理解してくれた。話を聞き終えた風見家一同は最早これが他人事ではないと頷く。
「そうか、大変な目にあったんですねぇ。今外に出ると危ないでしょう。狭い家ですがど
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