第38話 更なる脅威
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てフラリフラリの一人旅であった。以前は助手が一人居たのだがその助手も既に帰るべき巣へ帰って行った為に実質早川一人である。
「やれやれ、助手が居なくなったお陰で肩の荷が下りて楽になったぜ。さぁてと、そろそろ腹も空いてきた事だし今日の飯でも探しに――」
言葉を言い切る前に早川は何かを感じ取った。長年私立探偵をやっていた為に身についた事件の直感。と言う奴である。
大概はトラブルに巻き込まれる事が多いのだが、彼の場合寧ろお望みでもある。
直感に身を任せるように音を立てず歩んでいくと、其処にはやはりトラブルの元があった。
一人の女性が一体の怪人と複数の戦闘員に取り囲まれていたのだ。薄茶色の長い髪に見慣れない制服を着た女性だ。スラリと細身の体を持っており、生憎早川の方に対し背を向けていた為に顔は見えないが恐らく美人だろうと彼は読んだ。
「何処のどいつかは知らんが我等の姿を見た者は生かしては置かん! 此処で死ぬが良い、シィィィザァァァァス!!」
真ん中に居たのは猫科、恐らくジャガーの類の姿をした怪人が両手に取り付けられた刃物を振り上げて女性を襲おうとしていたのだ。
その女性と言えば全くその場から動こうとしない。
恐らく恐怖で足が動かないのだろう。そう早川は見ていた。実際女性が恐怖で動けないかどうかは分からない。だが、男としてこんな場面を見逃す訳にはいかない。
(おぉっと、こりゃまた偉い場面に出くわしちまったみたいだな。ま、俺みたいな良い男がこんな場面を知らん振り出来る訳ないし、ちょっくら助けに行くか)
颯爽とあの中に飛び込もうとしたその時、近くでバイクの失踪する音が聞こえた。すぐ近くだった。その姿はすぐに現れた。怪人達と女性の間を割って入るかの様に一台のバイクに跨った青年が姿を現す。その腕を見る限りかなりの腕前だ。青年は怪人達などには目もくれず女性だけを見る。
「君、大丈夫か?」
「貴方は?」
「話は後だ! 早く乗って!」
半ば無理やり青年は女性の手を引っ張りバイクの後ろに乗せる。女性もそれには逆らわず青年の後ろに跨り両手で青年の腰に手を回して自身を固定させる。フルスピードで走った際に転げ落ちない為にだ。青年はそれを確認してからアクセルを全開まで回す。バイクの後輪が高速で回転し、その場を猛スピードで走り去っていく。余りにも唐突に起こった出来事の為に怪人と戦闘員達はすっかり出遅れてしまった。思考が元に戻った後では既に青年も女性も遠くへ逃げてしまっていた。
「しまった! 追え、追うのだぁ!」
「ギィー! 無理ですハサミジャガー様! 幾ら何でもバイクと足では追いつけません」
「おのれぇ、すぐにあの男の身元を確認しろ!」
「ギィー!」
怪人の周囲に居た戦闘員達が奇声を上げる。そして
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