第2章 真の貴族
第17話 湖畔にて
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確かに、元々がガリア王家の命で集めていた物ですから、貴女が王家の一員で有るのなら喜んでお渡しするのですが、残念ながら貴女は違いますから」
少し苦笑に似た笑みを浮かべた後、こちらは、大体想定通りの答えを返して来るジョルジュ。この勿体ぶった台詞の後には、おそらく、交換条件の無理難題が控えているのでしょう。
それにしても……。成るほど。この世界でも香木は、多少、流通している代物なのですか。それに、このフェニックス関係の伝承は、古代ギリシャのヘロドトスが記述した内容なので、彼がこの記述を行った頃には香木がヨーロッパにも知られていた可能性が高いと言う事です。
それならば、この中世ヨーロッパに似た世界でも、香木が多少存在したとしても不思議では有りません。
「ならば、流通しているルートか、香木の群生地を教えて欲しい」
しかし、粘ると言う事も無く、話を展開させる蒼き姫。先ほどのジョルジュの台詞から推測すると、何か交換条件を出して来る雰囲気だと思ったのですが。
いや、もしかすると、これも彼女独特の交渉術の形かも知れませんか。
もっとも、この場面ではタバサの方から話を展開させようが、ジョルジュの方から交換条件を出させようが、大して差は無いとは思うのですが。
「私は別に譲る訳には行かないと言った訳ではないのですが。
確かに、香木は貴重な物ですが、それは、ガリア王家からの命によって集めていた物です。
まして、此度の再生の儀式に使用しなければ、次はまたかなり先の話となりますから、我が家が集めて来た香木を今回も使用して、次の分は、その時までに集め直せば済む事です」
少し苦笑するような感じで、そう答えるジョルジュ。
……って言うか、結局、ジョルジュの方から言わせましたか。
そして、更に続けて、その交換条件を口にする。
「そうですね。別に、大して必要な事も無いのですが、貴女方に領内の危険な亜人や魔獣、邪龍の退治でもやって貰いましょうか」
☆★☆★☆
紅と蒼に照らされた、静かな湖の畔。
本来ならば、空の蒼と紅。そして、同時に水面に映った蒼と紅を愛で、ありふれた愛の詩を口ずさむべき夜。
しかし、今宵のレマン湖の湖畔には、異常に強い獣の体臭に似た悪臭と、そして、それよりも更に強い死の臭いが充満していた。
但し、死の臭いの元凶は、ヤツラの方では無く、俺たちの方なのですが……。
さりげない様で上空の月を見上げている少年が一人。
帯剣はしているが、マントは付けて居らず、更に魔術師の杖を持っている訳でもない。
……この状況を簡単に餌が得られる好機と捉えるか、それとも何らかの罠と疑うか。
俺を見つけたそのオーク鬼の集団が、俺を完全に包囲する陣形で接近して来
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