第2章 真の貴族
第17話 湖畔にて
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ね。
但し、その次善の策の問題は……。
「但し。この地は、古来よりサヴォワ伯爵家の領地で有り、彼の家になら、何らかの伝承に従い香木を準備している可能性も有る」
タバサがそう続けた。普段通りのやや抑揚に欠けた、淡々とした口調で。
確かに、俺もその方法に付いては考えてはみました。まして、ガリア王家の方でも何らかの形で祭壇用の香木を準備している可能性も有ります。
それに、この方法ならば、少なくとも俺の不可思議な能力をガリア王家に類推される可能性が少しは減ります。多分、少しだけですけどね。
しかし……。
「その方法やと、交換条件で何を要求されるか判らない。
お金や宝石類。貴金属と交換、と言う程度ならば良いけど、それでもこちらの足元を見て来る可能性も有る。
まして、タバサが呑めない要求の可能性やって有るやろう?」
西洋風の騎士道を順守するのなら、そんな事は有り得ない。……のですが、そもそも、そんな物は絵に描いた餅。順守した人間がほとんどいないからこそ、物語の中ではそう言う騎士道が存在しているのですから。
それに、命令をして来たのが誰かは知らないのですが、ソイツの手の平の上で踊っているような状態も気に入らないのですけど。
但し、それは単に、俺のちっぽけな矜持だけの問題なんですけどね。
「先ずは、魔法学院に戻って、彼に聞いてみる。それからでも、考えるのは遅くはない」
☆★☆★☆
「香木ですか?」
転移魔法で、ほぼタイムラグなしに魔法学院に戻り、その足でジョルジュの元を訪れたタバサと俺。
もっとも、俺としては、コイツの実家に頼るぐらいなら、俺の式神を頼って欲しかったのですけど……。ただ、それでは、タバサの方が俺に頼り過ぎていると言う気分になるとは思いますから、これはこれで仕方がないのですが。
「来ると思っていましたよ」
少し、してやったりの雰囲気を漂わせながら、そう言うジョルジュ。
但し……。
「それにしても、御早い御着きですね。
ここに来たと言う事は、伝承に残っている場所に行ったと言う事のはずですが」
……と、そう聞いて来るジョルジュ。
もっとも、この質問に関してはマトモに答える必要は無いでしょう。それに、ここはタバサが交渉を行う場面ですから、俺が口を出す必要も有りません。
「サヴォワ伯爵家が集めている香木を譲って貰いたい」
何時もと変わらぬ、やや抑揚に欠けた、彼女独特の口調で、そう簡潔に依頼内容を告げる蒼き姫。
……って言うか、直球勝負ですね、タバサさんも。
確かに、この状況で腹芸は必要ないとも思うのですが、それにしたって、もう少し遠回しに相手に告げる方法だって有るでしょうに。
「
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