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スーパーヒーロー戦記
第36話 紅い光
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目を覚ました。

「私…まだ此処に……くっ!」

 どうにかして結界を破ろうと試みたが無駄だった。幾ら押そうが結界はビクともしない。回りに視線を向けてみた。其処には同様に結界に閉じ込められていた三人の姿があった。だが、三人ともまだ意識が戻っていないらしく眠ったままだった。

「そうだ! なのはは…」

 今、この場に彼女が居ない事に気づく。更に視線を向けて辺りを探し回る。目的の者はすぐ目の前に居た。丁度自分のまん前になのはは居た。
 全身ズタボロの状態となり手足を鎖で拘束された状態でその場に居た。

「な、なのは!」

 フェイトは叫んだ。だが、その叫びにもなのはは答えない。只無言のまま傷ついた体のまま項垂れていた。

「やっと目を覚ましたのね? フェイト」

 下の方で声がした。見れば其処には自分達を結界の中に閉じ込めた本人であるプレシア・テスタロッサの姿があった。

「か、母さん…何で、何でなのはにこんな酷い事をするの?」
「あら、何を勘違いしているの? この子を此処まで痛めつけたのは他でもない。貴方達よ」
「え……」

 一瞬、フェイトは脳内が真っ白になる錯覚を覚えた。自分がなのはを傷つけた。
 まさかそんな事があったと言うのだろうか?
 全く記憶がない。あの時、プレシアに捕まり、その後紫色のガスを浴びせられた所までは覚えているがその後の事が一切思い出せないのだ。

「困惑しているみたいね? だったら良い物を見せてあげるわ」

 プレシアがそう言いフェイトの目の前にモニターを表示させた。其処から映し出された映像は目を覆いたくなる光景であった。
 其処に映し出されているのは、自分を含む此処に囚われている筈の四人が揃ってなのはを攻撃している場面であった。なのは自身仲間に手を上げる事が出来ず良い様に嬲られ続けていた。
 そして、全く抵抗できなくなった所へ、フェイトがなのはに近づき、トドメの一撃を浴びせた。

「う…嘘! こんなの嘘だよ! 私がなのはを傷つけるなんて…」
「いいえフェイト。これは紛れも無い事実なのよ。貴方はその手でこの子を傷つけた。其処に映し出されている映像の通り貴方達の手でこの子を倒したのよ」

 プレシアの氷の様に冷たい言葉が放たれる。信じたくなかった。自分があのなのはを傷つけたなど。信じたくなかったのだ。
 しかし、もしそれが事実だと言うのなら何故?

「フェイト、貴方には心底失望したわ。こんな子に惑わされたばかりに貴重なジュエルシードを6個も無駄にした。母さんは心の底から怒っているのよ」
「か、母さん……」

 突如フェイトの顔が青ざめだした。またあの仕打ちが来る。
 そう思った途端自身の両肩を掴み振るえ出してしまったのだ。誰にでも有る恐怖に対する動き
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