第36話 紅い光
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剣が振り下ろされる。
その直後、瓦礫の下から駆け上がってきた2台のバイクが傀儡兵を弾き飛ばした。
サイクロン号であった。本郷と一文字が操縦する二台のサイクロン号が駆け上がってきたのだ。
更に、それと同時にフェイト達が居る部屋のすぐ近くに今度はマジンガーZとグールが激突してきた。凄まじい衝撃が辺りを揺さぶる。
その際、プレシアの手がフェイトから離れる。一旦距離を開ける両者。その際、弾いた筈のプレシアの杖が振動の際にプレシアの近くへと転がりこんで来た。
「フェイト…この世にアリシアは二人も要らないわ! 貴方は消えなさい!」
「母さん!」
プレシアが杖を手に取り雷撃を放とうとする。それよりも早くフェイトは金色の閃光となりプレシアに突撃した。
それは一瞬の内に終わった。プレシアの胸元にはバルディッシュの金色の刃が突き刺さっていた。
刃は胸元に突き刺さり背中まで貫通していた。貫通した箇所から赤い雫が零れ落ちる。
「ぐっ! はぁ…」
「か、母さん…母さん!」
崩れ落ちるプレシアをそっと抱き抱えてフェイトは叫んだ。目元には大粒の涙が滲んでいた。
「フェ……フェイト……」
「母さん…どうして? どうしてあの時、避けなかったの?」
フェイトは分かっていた。プレシアはあの時の一撃を避けようと思えば避けられたのだ。だが、それをプレシアは逢えてしなかった。
一体何故?
「フフ…もう、私自身を止めるには、こうするしかなかったのよ」
「ど、どう言う意味なの?」
「本当はね、大分前から分かっていたのよ。貴方がアリシアの妹だって…でも、もう手遅れだった。その時の私はもう私自身の意志じゃ止められなかった……だから、こうするしか他に方法が無かった」
プレシア自身でも止められなかった狂気。それをとめる手段は最早彼女自身の【死】しかなかった。そして、プレシアはそれを成す為に逢えてフェイトの凶刃に倒れたのだ。
「御免なさい…御免なさい、母さん!」
「謝るのは…私の方よ。御免なさいフェイト…あんな酷い事を言うなんて…私は母親失格ね…」
プレシアの目元にうっすらと涙が零れ落ちるのが見えた。それこそ、彼女の心からの涙であった。初めてフェイトが見た涙であった。
「母さん…お母さん!」
「フェイト…私や、アリシアの分まで…生きて、そして…幸せになって…頂戴…」
「うん……うん!」
そっと、フェイトの頬に触れながらプレシアが言う。その手を強く握り締めながら泣き顔でくしゃくしゃになった顔でフェイトが強く頷いた。
その仕草を見たプレシアは満足したかの様に、一際綺麗な笑みを浮かべた後、そっと瞳を閉じた。それと同時に頬に触れていた手が崩れ落ちる。
彼女の体から体温が引いていく感覚が分か
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