第36話 紅い光
[11/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
撃を放つも狙いが定まらず全く当たらない。
徐々にプレシアの顔に焦りと苛立ちの色が映りだす。その時、金色の閃光はプレシアの目の前に現れる。
その閃光はフェイトの姿へと戻り、プレシアの持っていた杖を弾き飛ばす。丸腰となったプレシアに向いバルディッシュの切っ先を向ける。
「私はフェイト! フェイト・テスタロッサ! 大魔導師プレシア・テスタロッサの娘で、アリシア・テスタロッサの妹! そして、ガーディアンズのメンバーのフェイト・テスタロッサです!」
闘いはフェイトの勝利に終わった。バルディッシュから出ていた金色の刃はプレシアの喉元に突き立てられている。少しでも妙な動きをすれば一撃の元に切り裂ける位置だ。
そして、今のフェイトはそれを躊躇わないだろう。彼女は既に己を縛っていた呪縛を破った。彼女はプレシアを全力で止めようとしている。例えそれが彼女の命を奪う行為であったとしても。
「妹? 貴方がですって?」
「私は、アリシア姉さんの事は分からない。会った事もないし、話し合った事もない! だけど、それでも私は分かる。今の母さんのやり方を見て、アリシア姉さんは悲しんでる! こんな事をしてアリシア姉さんを生き返らせたって、きっと姉さんは喜ばない」
強く芯の通った言葉であった。とても人形が言える言葉じゃない。その言葉がきっとフェイトの強くなった証なのだろう。
ふと、プレシアが肩を震わせて笑い出した。
「全く、まさか貴方が其処まで言えるようになるなんてね…それ程までにあの子は貴方を変えた…と、言うのね?」
「あの子は…なのははとても優しい子だった。どんなに辛くても、自分の事より私達の事を一番に考える。他の人が見たらどうしようもないお人好しだって笑うかも知れない。それでも、私はなのはと出会って変わる事が出来た! だから今の私が此処に居るんです!」
キッとプレシアの目を見てフェイトは進言する。それを聞き終えたプレシアは笑うのを止めた。目元が据わりだした。
「そう、だとしたら…尚の事そんな子を生かしてはおけないわ!」
プレシアがそう言いだした直後だった。背後に気配を感じた。
振り返ると、外で戦っていた筈の傀儡兵の一体が突如姿を現し、動けないなのは目掛けて剣を振り下ろそうとしていたのだ。
すぐに迎え撃とうと動こうとした時、フェイトの首をプレシアの細い指が捕らえる。
「ぐぁっ、か、母さん…」
「貴方は人形でなければ駄目なのよ! 人間になる事なんて貴方は出来る筈がないのよ! 人形に心を与える人間は、この世に必要ないのよ!」
その時のプレシアの目はとても血走っていた。まるで狂気に支配された目であった。
必死にその手を払い除けようとしたが思いのほか強い力の為振り解けない。そうしている間にも傀儡兵の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ