悪魔の兵器
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谷は刺身を醤油に漬けて食べはじめた。平目の刺身である。
「皆食ってやる。年寄りを馬鹿にするとどういうことになるかよく教えてやるからな」
「あ、ちょっと待って下さいよ」
「俺達の分もあるんですよ」
ライダー達だけでなく滝達もそれに入った。そして彼等は食べ物の争奪を開始した。
「おい、まだまだあるからそうがっつくな」
「全部食うって言ったのはおやっさん達の方じゃないですか」
そう言いながらも朗らかに食事を続ける。喧騒はあるが比較的和気藹々とした感じであった。
村雨はその時場の端にいた。そしてそれを微笑みながら見ていた。
「食べてるかい」
そこに伊藤がやって来た。
「はい」
彼はそれに頷いた。
「美味いですね、ここの魚は」
「魚だけじゃないぞ」
伊藤はにこやかに笑ってそう答えた。
「伊勢に来たらあれを食べないとな」
「あれですか」
「そうだ。見れば役君なんかはそれを楽しみにしているようだぞ」
「役さんが」
彼はここで役に目をやる。見れば確かに何かを待っているようだ。
「お待たせしました」
ここで仲居が入って来た。
「おお、来たな」
立花が仲居が手にするそれを見て喜びの声をあげた。
「こっちに持って来て」
そして彼女に声をかける。仲居はそれに従いそれを台の中央に持って来た。既に平目は全部食べられていた。
それが台の上に置かれる。伊勢海老の刺身であった。
「これだよ、これ」
立花はまだ動いている伊勢海老を指して言った。
「伊勢に来たらこれを食わないとな」
「おやっさんって海老好きだったんですね」
本郷が彼に問うた。
「まあ嫌いじゃないな。他の海老も好きだしな」
「そういえばこの前海老フライをかなり食べてましたね」
一文字がそこで言った。
「ああ。美味かったからな。ささ、話はそれ位にして食おう」
そこで他のものに声をかけた。
「この後は味噌汁も来るからな。たっぷり楽しめよ」
「はい!」
こうして一同は伊勢海老に箸をつけた。それは瞬く間に消えていった。
特に役はそれに舌づつみを打っていた。どうやら伊藤の予想は当たっていたようである。
「ところで良君」
「はい」
伊藤がまた声をかけてきた。
「君は酒は飲まないのかい」
「いや、そういうわけじゃないですけれど」
「そのわりに進んでいないね」
見れば彼の杯は殆ど減ってはいなかった。
「実は日本酒は駄目でして」
「そうか。じゃあビールはどうだい」
「いただきます」
彼は笑顔で答えた。どうやらビールは好きらしい。
「それじゃあ」
伊藤はそれに応えてコップを持って来た。そしてビールをそこに注ぎ込んできた。
一向は飽きるまで食べ、そして飲んだ。全てを食べ終え、飲み終えるともう台の上
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