嵐の前
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うことか」
「そう言わずして何と言うのだ」
「フン、それは否定しない」
三影はそれを笑いながらも認めた。
「何しろ俺達バダンは真の理想世界を築こうとしているのだからな。弱い者や愚かな者にはそれがわからないのだ」
「三影」
村雨は不敵な調子でそう言った三影を見据えて言った。
「どうやら貴様はあくまでわかろうとしないようだな」
「わかる?」
だが三影はそれには口の左端を歪めて返すだけであった。
「一体何をわかるというのだ。弱い者や愚かな者はそれだけで罪だというのに」
「それがバダンなのはわかっている、そして貴様も」
村雨はそれを聞いて言葉を出した。
「それ故に貴様等を許すことはできん」
「許す、か」
三影はその言葉も笑い飛ばした。
「バダンにはない言葉だな」
「バダンにはか」
「そうだ。そんな女々しい言葉には興味がない。俺が好きな言葉は」
口の端を歪めたまま言った。
「力こそ正義、だ。これは不変の真理だ」
「不変の真理か」
「そうだ。一度は俺は貴様に敗れた。だがな」
ここでサングラスを取り外した。その目が無気味に光っていた。
「最後に貴様を倒せばいいのだ。それで俺の正義が確かになる」
「では貴様にとってはバダンが正義なのだな」
「それ以外の何だというのだ」
「わかった。ではいい」
村雨はそれ以上話をする気にはなれなかった。
「近いうちにそれははっきりするだろう。その時にわかることだ」
「そうだな、俺が貴様を倒す時だ」
三影はサングラスをかけた。そして表情を元に戻した。
「その時に備えて精々強くなっておけ。今以上に強くないと俺は認めん」
「言われずともそのつもりだ」
「では期待しておこう」
そう言い終えた三影の身体を黒い光が包み込んだ。
「貴様と拳を交える時をな」
彼は黒い光の中に消えた。村雨はそれを見届けるとその階を調べはじめた。
「ここにあるかな」
「村雨さん」
ここで下から役の声がした。
「ありましたよ、バダンの手懸かりが」
「本当ですか」
彼は顔を下に向けて役に問うた。
「ええ、ちょっと来て下さい」
「はい」
彼はそれに従い下に降りた。そこでは役が手に何かを持っていた。
「これです」
それは一枚の地図であった。
「地図ですか」
「ええ、最初はディスクメモリーか何かだと思ったのですが」
「それは俺もです」
村雨は先程の三影との言葉を心の奥にしまって彼に応えた。
「まさかそれが出て来るとは思いませんでしたね」
「はい」
役はそれに答えた。
「ですが何やら罠の可能性もあります」
「罠」
「はい、肝心の地図を見て下さい」
役に地図を手渡された。それは日本アルプスの地図であった。
「ここは」
「以前ここでスカイ
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