嵐の前
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らく何か別の力を受けて動いている筈だ」
「またわからないことを言う」
村雨の疑念は止まるところがなかった。
「その別の力とは一体何なのだ」
「それは俺にもわからん」
三影もそう答えることしかできなかった。
「だがそれは俺達とはまた別の次元にある話だ」
「どういうことだ」
「強いて言うならば」
三影の言葉が低いものになっていく。感情がこもってきていた。
「神か」
「神」
「そうだ。それはおそらくこの世の摂理を司る神だ」
三影もまた神を崇拝しているからこそ言える言葉であった。彼の信じる神はあの首領であった。この世の摂理を破壊し、
そしてそこから新たな世界、己が全てを支配する世界を築かんとする邪なる神である。
「その中のどれかはわからないがな」
「では役さんは神の僕だということか」
「そこまではわからん。より高位の存在ではないかと思うがな」
「では神・・・・・・」
「さてな。そこまではわからん」
三影はそれについては言葉を濁した。
「しかし少なくともその力は貴様等ライダーや俺達と同じ程度はあるだろう」
「俺達と」
「そうだ、種類こそ違えどな」
「生身だというのにか」
「確かに生身だろう。だがな」
「だが!?」
「人間だとは限らないのだ。それはわかるな」
「ああ」
村雨はそれに対して頷くしかなかった。彼も三影もその身体はもう人間ではないのだ。だからこそわかる言葉であった。
「残念だがな」
そしてこう言うしかなかった。
「今ではそれも誇りに思っているが」
「そういう考えになったか」
三影はそれを受けて言った。
「だがそれはいい。問題はあの男だ」
「うむ」
「少なくとも改造人間ではない。そうした意味で俺達とは違う」
「わかるのか」
「わかるさ」
三影は答えた。
「俺達とはあきらかに気配が違うからな。それは御前も感じているだろう」
「うむ」
「しかし普通の人間のそれとも違う。それもわかるな」
「確かに」
それは以前より薄々ながら感じていた。村雨もライダーである。その勘は普通の人間のそれとは比較にならない。
「俺はそういったことから言っているのだ。あの男の謎をな」
「生身であるが人間ではない、と」
「そういうことだ。では何者か」
「神かそれに近いもの」
「あくまで仮定だがな」
三影はそう断った。だがそのサングラスの奥の目はそれを仮定だとはみなしていなかった。
「俺にとってはあの男も敵だ。そういった意味であいつもライダーと同じ存在だ」
「同じか」
「違うか。バダンの世界を築くのを防ごうとしているのだからな」
「確かにな。だが一つ言っておこう」
「何だ」
「それは俺達だけじゃない。この世界の心ある人全ての願いだ」
「つまり俺達は世界の敵とい
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