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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十二話 改革へ
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平民を衝突させる。その後は両者を煽り……いや煽る必要もないかもしれん。お互いに恐怖から勝手に衝突をエスカレートさせるだろうな。行きつく先は革命だ」
黙っているとブラウンシュバイク公が言葉を続けた。
「革命が終わった後、地球教がどうなっているか……。或いは生き残っているかもしれんな。誰にも気づかれないように細々と生き残っているかもしれん。だが我々は如何だろう、まず間違いなく滅んでいるだろうな」
ブラッケがチラッと私を見た。
「……リッテンハイム侯もそうお考えなのですな。地球教の策動を防ぐために、滅ばぬために改革が必要だと」
「そうだ、同じ考えだ、ヘル・ブラッケ。帝国を守り繁栄させるには、我らが明日を生きるためには改革が必要だと考えている」
ブラッケがまたチラッと私を見た。
「他の貴族達はどう思うでしょう?」
「改革には反対するだろうな。しかし彼らの事は気にしなくて良い、こちらで対処する。平民達の不満を解消するには何から始めれば良い」
「……」
気にしなくて良いか……。それなりの対策が有るという事だな。ブラッケと顔を見合わせた。彼の目に力が籠っている。どうやらこちらも性根をすえて取り掛かる必要が有るようだ。
「分かりました、では先ず……」
宇宙歴 795年 9月24日 第一特設艦隊旗艦 ハトホル ジャン・ロベール・ラップ
ようやく第一特設艦隊が巡航艦パルマと合流した。もうすぐ連絡艇でヴァレンシュタイン提督がハトホルに戻られるだろう。提督の帰還を聞いて旗艦ハトホルの艦橋にはホッとした様な空気が流れている。皆の表情、雰囲気には緊張は見られない。
我々にとってはフェザーンと地球の関係も気掛かりだったがそれ以上にヴァレンシュタイン提督の安否が気掛かりだった。だがそれもようやく終わる。提督がこの艦に戻れば安心だ。チュン少将もようやく安心したのだろう。周囲に笑顔を見せている。
この一週間、特設第一艦隊の司令部は気が気ではなかった。ヴァレンシュタイン提督にもしもの事が有れば一体我々はどうなるのか……。最悪の場合は艦隊の解体という事も有り得る。それでは一体何のためにこれまで訓練をしてきたのか分からない。ようやく艦隊として機能し始めた第一特設艦隊が何の意味もなく消滅してしまう。
ヴァレンシュタイン提督が旗艦ハトホルの艦橋に現れたのは巡航艦パルマが第一特設艦隊に合流したと報告が有ってから三十分程経ってからだった。副官のミハマ中佐、ローゼンリッター、それと見慣れない同盟の軍人達、さらに銀河帝国のレムシャイド伯、そして憔悴した様子のフェザーン自治領主ルビンスキーが一緒だった。
「閣下、御無事でのお戻り、心からお慶び申し上げます」
チュン参謀長が敬礼と共に無事を喜ぶと皆も一斉に敬礼した。提督
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