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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十二話 改革へ
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はトリューニヒト委員長、シトレ元帥の両名と随分と親しくなったような気がするよ。あのおぞましい連中に比べれば彼らは叛徒かもしれんが人間だからな、地球教の化け物よりはましだ」

疲れた様な口調だ。いやブラウンシュバイク公は間違いなく疲れているのだろう。女帝陛下も痛ましそうな目で公を見ている……。しかし何時までもこうしては居られない……。
「……それで、我々を此処へ招かれた理由ですが……」
「うむ、そうだな、ぼやいていても始まらんな」

ブラウンシュバイク公が女帝陛下と顔を見合わせた。陛下が頷く、それを見て公も頷いた。公が我々に視線を向ける、強く、そして厳しい視線だ。ゆっくりと口を開いた……。
「以前改革案を貰ったな。それを実施しようと考えている」

ブラッケに視線を向けた。彼も私を見ている。瞳に有るのは喜びと不安だ。ブラウンシュバイク公は何処まで本気なのか……。また何故改革を行うのか、確認しなければならない。

「その理由は?」
私の問いかけにブラウンシュバイク公は沈黙した。視線を伏せ俯き加減に考え込んでいる。
「ブラウンシュバイク公……」
ブラッケが問いかけたが肘を掴んで止めた。ブラッケが私を見る、首を振って止めるとブラッケは強い目で私を見たが不承不承口を噤んだ。

一分、二分……、どのくらい経ったか、五分程も過ぎた頃だろうか、公が顔を上げた。
「以前から改革が必要だとは考えていた。だがどう進めればよいか正直迷っていた。しかし地球教の所為で迷っている暇はなくなった。このままでは帝国は連中に潰されるだろう……」
「まさか……」
「事実だ、リヒター。……帝国は連中に間違いなく滅ぼされるだろう。帝国は悲惨な状況になる」
嘘ではないだろう、公の声は悲痛と言って良かった。そして女帝陛下は無言で公に寄り添っている。

「帝国は今不安定な状況にある。例のカストロプの一件で平民達の不満はかつてないほど高まっている。……リヒテンラーデ侯が死んでくれたのは幸いだった。そうでなければ暴動が起きていたかもしれん」
首を振りながら話すブラウンシュバイク公に頷いた。否定はできない、あのカストロプの一件にはどんな人間でも怒りを覚えるだろう。あれほど権力者の身勝手さが露わになったことは無い。

「地球教は帝国でも自由惑星同盟でも排撃されている。連中には行き場は無いのだ、となれば生き残るために何をするか……。卿らにも簡単に想像がつくだろう」
なるほど、そう言う事か……。念のために口に出して確認してみた。

「つまり平民達を使嗾し、国内を混乱させるというのですな」
そうではない、と言うようにブラウンシュバイク公は首を横に振った。
「混乱で済むかな、リヒター、その見方は甘いだろう。連中が狙うのは革命のはずだ。何らかの形で政府、或いは貴族と
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