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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
手を取り合う為に
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人間の生活は破綻する。
それだけで文明人ではなく原始人レベルにまで格下げされる、脆く儚い栄光。
幻想郷にも外の文明の名残はある。電気もあれば機械だってある。
だが、それらが無くなったところで幻想郷の住人にとってはさしたる問題ではない。
電気という概念自体、幻想郷ではマイナーな代物だ。
守矢神社は外の技術と河童の技術との併用で、一般家庭レベルの文明は維持できている。
しかし、慧音の家の中には、電化製品は何一つとしてなかった。
他にも香霖堂にも、それに準ずる道具は売り物として出されていたが、店の備品としては何一つとして使われていなかった。
せいぜい明かりはカンテラぐらいのものか。
固形燃料を用いたストーブとかならばあるのかもしれないが、常用品ではない上に一家に一台あるかも怪しい。
そもそも人間の里にある建物の外観からして、江戸と明治の中間ぐらいの建築技術で造られているのが分かる。
だが、紅魔館のような西洋の建物もあれば、外の機械技術を上回る機械郡を造ることの出来る河童の存在と言ったように、技術レベルの定義は曖昧だ。
外からの技術を取り入れ、それをより優れたものへと改造する技術を持ちながら、その技術が遺憾なく発揮されている様子はない。
まるでわざとそうしているような、そんな印象さえ見受けられる。
それが幻想郷の住人の総意なのか、それとも―――

「―――?」

微かに耳に入る草の根を掻き分ける音。
振り向いた先は、整地もままならない草の生い茂る地。
こんな場所から不自然な音が拡がる為には、何かしらの干渉がなければいけない。
それこそ、生物が近づいているようにさえも感じられる。
自然と身体が強ばる。
一般人が整地されていない場所から現れるなんて、妖怪の蔓延る世界では異常だ。
故に、自然とこの音源の正体は、獣か妖怪ということになってくる、が―――さて、何が来る。
ゆっくりとヒトガタが輪郭を現してくる。
ヒトガタに光が刺す直前―――それは起こった。

ぐぅ〜

どこか獣の唸り声のように聞こえたそれは、どこか聞き覚えすら感じる。
それに続くように現れたのは、年端もいかぬ少女だった。
少女はお腹を押さえながら、よろよろとこちらへと歩み寄ってくる。

「お腹、空いた―――」

それだけを告げ、ばったりと地面に伏した。
………先程の唸り声は、この子の腹の虫だったのか?
動かぬ少女の身体を揺らすも、反応はない。
苦しそうな表情で気絶している少女を前に、獣道から現れたという不信感を煽る事実など無意味。
躊躇うことなく少女を抱え、近くの木に背中を預けさせる。
そして、直ぐに獣道の奥深くへと駆け出した。
目的は当然、食糧探しだ。
少女から目を離さない程度の距離を散策し、食糧の確保に成功する。
適当な
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