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木の葉芽吹きて大樹為す
萌芽時代・抱負編
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内に秘めた声は、私の心の内を象徴する様に熱を帯びていた。

「――手始めに、私は忍びの頂点を目指す。そうでもしなければ一族にも、それ以外の者達にも声は届かない。何も力が無いままでは、幾ら間違っていると叫んだところで世界に掻き消されてしまうだけだ」

 千手の始祖は、平和には『愛』が必要だと説いたらしい。
 その答えはきっと正解だけれども、それだけでは世界を変えられる程、強くも正しくもないのだ。

 扉間が息を詰める。
 そうしてから、強い輝きを宿した瞳で私の目を覗き込んだ。

「――――オレも協力致します。姉上の願いは、オレの願いでもありますから」

 共に、今の世界を変えてやりましょう。
 そう言って私の冷えきった手を握りしめてくれた弟に、辛うじて平静を装っていた顔がみっともなく歪むのを感じた。
 次いで、重なった私達の手の上にもう一つの小さな掌が乗せられる。
 掌の持ち主は私達の視線に気付いて、そっと微笑んでみせた。

「何の力も無い私ですけど、私もお二人と志しは同じです。もうこんな世界は私だってうんざりです」

 非力な私ですけど、お二人の同志として迎え入れては下さいませんか?
 そう言って、強い眼差しで私達を見つめる。

 泣き出す代わりに、泣き笑いの表情を浮かべる。一人ではないと言う事実に、胸がじんわりと熱くなった。

「勿論大歓迎に決まっているだろ、ミト」
「共に頑張ろう、ミト」

 私達は三人で顔を見合わせながら、笑った。 



 ――その数日後。
 連日降り続いた雨が上がり、父上達の葬儀が終わるのと同時に、私は千手の頭領を正式に襲名した。

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