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木の葉芽吹きて大樹為す
萌芽時代・抱負編
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システムが原因で生み出された“単なる悲劇”の一つに過ぎない。
 この戦国時代を何とかして打破しない限り、この様な悲劇は何度だって続くし、その度に私の様に怒りに駆られて涙を流す者の数は増え続けるのだ。

 任務で人を殺した事もある、何の恨みもない者に襲いかかられた事もある。
 その度に、私は厭だ厭だと思いながらも、だからといって何かを為す事をしなかった。
 戦場で傷ついた者を治して、感謝の念を告げられる事で誤摩化し続けて来た……その報いが来ただけなのだ。

「うちはの子供達ではない……! 本当に父上達を殺したのは、この世界だ……!!」

 ――――吠える。
 曇天の向こうに隠された太陽を睨みながら、胸で渦を巻く靄を振り払う様に大声で叫んだ。
 嫌ならば、嫌だと思うのであれば、見て見ぬ振りをする前にしなければいけない事が山ほどあったのに。

 ――そこまで思い至って、背後に誰かが立つ気配を感じた。

「姉者……! この様な所におられたのですか!」
「――……扉間、ミトまで」

 雨に濡れるにも関わらず、傘の一本も差さずに私の弟妹達が肩で息をしながら背後で佇んでいた。
 泣きそうに顔を歪ませたミトが、手にした白いタオルを頭へと掛けてくれる。
 軽くそれで汚れた顔や手を拭いてから、心配そうにこちらを見つけてくる弟妹達の銀と赤の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。

 二人が驚いた様に肩を竦めて、上目遣いに私を見上げてきた。

「姉者……」
「柱間様」
「扉間、ミト。……オレは、いや、私は決めたぞ」

 久しく使ってない一人称を使用すれば、驚いた様に二人が目を丸くした。
 降り注ぐ雨の下、三人で向かい合う。様々な感情が入り乱れた瞳が私を見つめ返してくる。

「父上達は任務で死んだ。殺した相手も、任務で父上達を殺した――その事が分かるな? 真に報復すべき相手はうちはではないんだ」
「ですけど、姉者……!」

 許せない、と弟の瞳が揺れる。
 どうして私が仇を擁護する様なことを言うのか理解出来ない、とも。

「私はね、扉間。“任務だから仕方ない”という言葉だけで……恨んでいない相手を殺すのも、大事な相手を殺されるのも、もうごめんだ……!」
 
 ――だから、決めた。
 もう前世の記憶も“千手柱間”の事などどうでもいい。オレは、私は、自分のしたい事をしてやる。

「変えてやろう、扉間。こんな世界、きっと間違っている。毎日の様に戦が起こり、忍びはそれに投入されては無為に命を散らして逝くのが当たり前なんて、そんなの私はもうごめんだ。そして、一族以外の人間には価値がなく、ただ一族だけを守れば良いと言う考えを持ったままでは、この戦国の世は終わらない……!」

 ミトが小さく息を飲む。
 心に巣くう激情を
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